2006 Fiscal Year Annual Research Report
クーロン分解法による硫黄同位体の陽子捕獲反応断面積の決定
Project/Area Number |
05J06673
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
栂野 泰宏 立教大学, 理学部, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 天体核物理学 / 不安定核反応 / クーロン分解反応 / 爆発的水素燃焼過程 / 磁気二重極モーメント |
Research Abstract |
硫黄同位体の^<30>Sの陽子捕獲反応断面積を決定するためには^<31>Clの第一励起状態から^<31>Clの基底状態への遷移確率を決定する必要がある。この遷移確率の決定の為に我々は昨年度、理化学研究所の原子核課題採択委員会に実験計画を提出し、10日間の実験が認められた。本年度はこの実験の為に実験に使用するシリコン検出器の回路の調整を主に行った。 シリコン検出器では陽子と重イオンの位置を検出器の表側で、^<30>Sのエネルギーを検出器の裏側で測定する。その検出器で得られた信号を増幅するために使用するプリアンプ(クリアパルス528A)の調整を行った。調整ではアンプの時定数と利得を決めているコンデンサーと抵抗を変更した。ここでは陽子と^<30>Sを同時検出するため、表面のアンプでは重イオンの信号も取れてしまう。よってシグナルの小さい陽子の為にアンプの利得を大きくする必要があるが大きすぎると重イオンの信号によって飽和が起こってしまう。そこで500keVの陽子のエネルギー損失を測定できるかどうか信号発生器を用いて確認しながらコンデンサーを変更し、利得を小さくしていくことで最適な値を探った。その結果47pFのコンデンサーと2MΩの抵抗を用いることで毎秒一万個のビームでも飽和が起こらず陽子の信号が測定可能であることが分かった。毎秒1万個の強度は本実験で想定されるビーム強度の約2倍の値であるので、この設定で実験が可能である。一方裏側の重イオン用のプリアンプは利得は^<30>Sの測定に絞って決定してよい。その結果270pFのコンデンサーと470kΩの抵抗の組み合わせで毎秒1万個のビームにも耐えながら重イオン測定が十分可能である利得を得ることが出来た。 本研究の主目的である^<31>Clの分解実験は来年度行われる予定である。今後は真空槽の整備をした後、分解実験を行う。
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Research Products
(5 results)