2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J06693
|
Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
山本 直樹 電気通信大学, 大学院・情報システム学研究科, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 量子力学 / 制御理論 / システム解析 |
Research Abstract |
研究の目的は次である:量子系に対して連続的な測定を行い、その測定データに基づいたフィードバック制御器の設計理論を構築する。つまり、ある対象系について、どのような測定を行い、どのような制御構造(具体的には、ハミルトニアンの構造)を与えれば望ましい制御目的が達成できるのかを明らかにする。以上の研究日的に対して、以下の結果を得た。 1.連続的な測定、制御のもとで時間発展する一般的な有限次元量子系を考察し、そのダイナミクスの定常状態が物理的に重要な「純粋状態」となるための必要十分条件を求めた。この理論を用いて、2個の粒子についてのダイナミクスが「最大エンタングル状態」を定常状態にもつための制御ハミルトニアンのパラメトリゼーションを求めた。 2.上述した時間発展方程式は理想的な環境下で「確率シュレーディンガー方程式」に従うが、この方程式は高次の非線形確率微分方程式であるため解析が難解である。そこで、一般的な確率微分方程式はある緩い条件下でつねに高々2次の方程式に変換できることを示し、この理論を上記の確率シュレーディンガー方程式に適用し、その表現を具体的に求めた。 3.連続的な測定・制御を受ける2個のスピン系が、最大エンタングル状態に確率1で収束するための制御ハミルトニアンの構造を与えた。これはエンタングル状態を生成するための方法論の一つであるが、従来のフィードバックを用いない方法に比べて、外乱に対するロバスト性を有するため有効と考えられる。 4.連続的な測定下にある一般的な有限次元量子系が、つねに低次元の空間に拘束されるための制御ハミルトニアンの構造を定めた。とくに拘束空間が2次元となるための条件を導出し、それを単一スピン系に適用した。拘束空間においては低次元解析が可能であり、複雑なシステムに対しても有効なフィードバック制御の設計が期待できる。実際・上記の単一スピン系を目的の状態に収束させるための制御ハミルトニアンの構造を定めた。
|
Research Products
(5 results)