2006 Fiscal Year Annual Research Report
配位子光解離反応を用いた新規グロビン蛋白質の動的構造解析
Project/Area Number |
05J06726
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
牧野 正知 兵庫県立大学, 大学院生命理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ミオグロビン / サイトグロビン / ニューログロビン / X線結晶構造解析 / 酸素 |
Research Abstract |
本申請研究は、新規ヘム含有グロビン蛋白質であるサイトグロビンとニューログロビンを研究対象とし、その配位子結合-解離機構の解明を目的とする。そのためには外部配位子結合状態の構造が必要不可欠である。今年度までにサイトグロビンとニューログロビンの発現方法、精製方法、結晶化条件の検討を行ってきた。ニューログロビンでは外部配位子結合状態の構造を明らかにすべく調製法を検討した。外部配位子として一酸化炭素(CO)を用いた。グローブボックス中で還元剤、CO飽和溶液とニューログロビンの結晶をキャピラリーに封入し、X線回折測定を試みたところ、差フーリエマップ上でヘム周辺に構造変化が起きていることが確認できた。しかし全体構造がどのように変化しているかは確認できなかった。これは結晶中のヘムに結合しているCOの割合(占有率)が低いためと考えられた。またサイトグロビンでは結晶をCO雰囲気下で保持すると、結晶性が低下するため構造解析には至っていない。そこでサイトグロビンでは結晶性を向上すべく結晶化条件を改良したところ、酢酸ナトリウムを沈殿剤とした条件で、新たに外部配位子非結合状態における結晶を得た。この結晶を用いてX線回折測定をしたところ、これまでに不明であったN末端、C末端の構造が明らかとなった。この結果はActa Ciystallographica section D誌に報告した。次にニューログロビンと同様のキャピラリーを用いた方法で外部配位子結合状態の調製を試みたが、またしても結晶性が低下したため構造解析には至らなかった。そこで溶液状態のサイトグロビンにCO結合をさせ、CO雰囲気化で結晶化を試みた。一週間程度で針状結晶を得ることができ、その結晶を大型放射光施設SPring-8 BL41XUで放射光測定したところ、3.0Å分解能の回折像を確認することが出来た。
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