2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J06745
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
梶村 麻紀子 和歌山大学, 教育学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 窒素代謝 / タンパク質合成分解 / 尿素排出 / 尿素回路 / 魚類生理学 |
Research Abstract |
本研究は、尿素合成能を持ち、尿素を周期的に排出する真骨魚類であるアベハゼMugilogobius abeiを用い、様々な環境要因が尿素合成・排出機構にもたらす影響を生理生化学的に解明することが目的である。平成17年度は、アベハゼにおいて尿素排出の役割を担う尿素輸送体の遺伝子配列を明らかにし、現在までに報告されている尿素輸送体との比較検討を行った。その結果、アベハゼの尿素輸送体は、アベハゼと同様に高い尿素合成能力を持つ真骨魚類、Alcolapia grahamiとOpsanus betaが持つ尿素輸送体と高い相同性を示すことがわかった。また申請者は、これまでの研究でアベハゼが尿素排出に明確な日周性を持つこと、そしてそれは尿素合成速度の変化ではなく、尿素排出部位の日周的な変化により引き起こされることを明らかにしている。それらの結果をもとに、本年度は尿素輸送体のmRNAの発現量における日周的な変化を調べた。その結果、アベハゼでは、鰓における尿素輸送体のmRNAの発現量が明期と暗期で変化することがわかった。さらに、アベハゼは、通常海水中で飼育した場合と比べ、低濃度のアンモニアに長期間さらすことで成長量が増大することがわかっていることから、本年度はアンモニア条件下での筋肉におけるタンパク質合成速度について調べた。その結果、アンモニア条件下では、アベハゼはタンパク質の合成速度を上げるのではなく、タンパク質の分解速度を下げることによって成長量を増加させるということがわかった。また、本年度は国外の研究所において、窒素代謝にかかわる複数の酵素活性の測定方法を学んだ。来年度、アベハゼにおいてこれらの酵素活性を調べる予定である。
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