2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J06813
|
Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
佐藤 美由紀 Gunma University, 生体調範研究所, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 小胞輸送 / 極性輸送 / 線虫 |
Research Abstract |
線虫の腸細胞は,ほ乳類の上皮細胞と同様に,細胞膜にapical面とbasolateral面という性質の異なった機能的ドメインを形成する.この腸細胞での極性輸送を解析するため,apical面とbasolateral面にそれぞれ特異的に局在化するマーカータンパク質を検索し,それらにmRFPまたはGFPを融合させた融合遺伝子を腸細胞で発現させた.この形質転換体を用いることで,apical/basolateral面への極性輸送の様子を生きた個体内で観察することが可能となった.これらの株に対して,線虫の腸で強く発現することが明らかとなっている遺伝子群(約1800遺伝子,全遺伝子の約一割に相当)について網羅的RNAiによる機能破壊を行い,腸細胞における極性輸送に影響を与える因子の候補を複数得ることに成功した.その中で,低分子量GTPase Rabファミリーのひとつであるrab-8のRNAiまたは遺伝子破壊株では,本来apical面に局在化される膜タンパク質GFP::PGP-1が幼虫期においてapical面直下の異常な膜構造へ蓄積する表現型が観察された.この蓄積は成虫期には解消され,GFP::PGP-1は野生型同様apical面にのみ局在するようになった.このことからrab-8破壊株では,体の成長に伴って腸の細胞が容積を増す幼虫期にapical面への輸送が遅延していると考えられた.また,その他の候補遺伝子群についてもさらに詳細な解析を進め,腸における輸送の方向性は複数のステップで制御されており,多くの因子が関与する複雑なメカニズムが存在することが明らかとなってきた.
|
Research Products
(3 results)