2005 Fiscal Year Annual Research Report
金属カチオンによって誘起されるDNAの液晶ゲル化についての研究
Project/Area Number |
05J06825
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
古澤 和也 群馬大学, 工学部, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 金属カチオン / 液晶ゲル / DNA / 透析 / 拡散 |
Research Abstract |
申請者らはDNAをホウ酸を含む水溶液に溶解しこれを塩化コバルトを含む水溶液中に透析することによって液晶構造を持つゲルが形成されることを見出した。本研究の目的は、このDNAからなる液晶ゲルの形成メカニズムおよび、液晶ゲル化現象の普遍性について明らかにすることである。透析によって液晶ゲルを調製すると円筒状のゲルが得られる。この円筒状のゲルを輪切りにし、クロスニコル下において、切断面方向から観察し特徴的な同心円状の干渉縞を持つ液晶パターンを観察することができた。さらにゲルをいくつかの異なる断面で切り出し、偏光板をクロスニコルの状態にして観察することによって、このゲルが液晶構造を持つ液晶ゲル層と液晶構造を持たないアモルファス層からなること、および液晶ゲル層においてDNAが同心円状に配向していることを明らかにした。次に、二枚の円形のカバーガラスにDNA水溶液をはさみ、これを塩化コバルト水溶液に浸漬することによって、フィルム状の液晶ゲルが形成されることを見出した。このとき、DNA水溶液がコバルトイオン水溶液と接触すると直ちにゲルの膜が形成され、この膜が透析膜と同じ役割を果たすことで透析チューブを用いる方法と同様な液晶パターンを持つゲルが形成されることがわかった。このDNA液晶ゲルフィルムの複屈折と濁度の時間変化を測定したところ、複屈折の増加と濁度の増加はほぼ同時に起こることがわかった。複屈折の増加は液晶化を示し、濁度の増加はゲル化を示すことから、液晶層形成過程において液晶化とゲル化はカップリングして起こることが示唆された。また液晶ゲル層成長のダイナミクスを測定したところ、液晶層の厚さの二乗が時間に比例するという拡散現象に特徴的な関係が見つかった。この拡散に基づく液晶層形成のダイナミクスはゲルのサイズによってスケーリングされることを理論と実験によって示した。
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Research Products
(2 results)