2005 Fiscal Year Annual Research Report
病原細菌における抗菌薬耐性機構の解析及び抗菌薬耐性菌の簡易検査法の開発
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05J06832
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
和知野 純一 群馬大学, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(CD1)
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Keywords | 抗菌薬耐性菌 / 16S rRNAメチラーゼ / アミノグリコシド |
Research Abstract |
我々はアミノグリコシド耐性を付与する16S rRNA methyltransferase遺伝子が腸内細菌科やブドウ糖非醗酵群に属するグラム陰性桿菌の一部に存在することを見出した。現在までrmtA, rmtB, armAの3種類の16S rRNA methyltransferase遺伝子が同定されている。本年度は1)臨床分離グラム陰性桿菌における16S rRNA methyltransferase遺伝子の保有状況の把握、2)新型16S rRNA methyltransferase(RmtC)について解析を行った。 1、全国169の医療施設より分離されたアミノグリコシド耐性グラム陰性桿菌481株を対象に16S rRNA methyltransferase遺伝子の保有状況を調べた結果、27株(5.6%)が16S rRNA methyltransferase遺伝子を保有していることが明らかとなった。菌種としては緑膿菌、大腸菌、肺炎桿菌、Enterobacter aerogenes、Acinetobacter baumanniiなど多岐にわたり、既に16S rRNA methyltransferas遺伝子がグラム陰性桿菌内で伝播しつつあることが明らかとなった。 2、プロテウスミラビリス(P.mirabilis)ARS68株はアミノグリコシドに高度耐性を示すものの、既知の16S rRNA methyltransferase遺伝子は保有していない。そこで、新規の16S rRNA methyltransferase遺伝子の保有を疑い、その同定及び解析を行った。P.mirabilis ARS68株より抽出したplasmidをE.coli DH5αに形質転換したところ、アミノグリコシドに対して高度耐性を示すようになった。上記の結果よりアミノグリコシド耐性を付与する遺伝子はplasmid上に存在する可能性が示唆された。アミノグリコシド耐性遺伝子をクローン化し、塩基配列を決定したところ、新規16S rRNA methyltransferase遺伝子(rmtC)が同定された。RmtCと既知の16S rRNA methyltransferase(RmtA, RmtB, ArmA)との相同性は30%以下であった。His-tagを付加したRmtC蛋白はE.coli DH5αより抽出した16S rRNAを速やかにメチル化した。rmtCはtranposase gene(tnpA)を含むIS Ecp1-elementの下流に存在した。rmtCの転移にはこのトランスポゾンが関与しているものと思われた。
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Research Products
(1 results)