2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J06898
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
水澤 靖 上智大学, 理工学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 代数体 / 類体塔 / 岩澤理論 / Z_p拡大 / pro-p Galois群 |
Research Abstract |
当研究課題の主目標は、代数体の類体塔のGalois群を岩澤理論的な対象として捉え、その非可換構造を数論的情報によって具体的に記述することである.特に今年度の計画は、円分Z_p拡大体のp-類体塔のGalois群を、絡み目群などの位相幾何学的対称との類似性に基づいて調査することであった.まずその方向性への見識を深めた前年度からの共同研究を継続し、その成果としてp-類体の岩澤理論的振る舞いとして代表的な岩澤類数公式の、有理ホモロジー3次元球面内の絡み目の巡回分岐被覆に対する類似物を一般化し、学会および海外のセミナーにおいて発表した.またそこでの考察をふまえ、前年度で考察した虚2次体の円分Z_2拡大体の2-類体塔のGalois群が3次元Poincare pro-2群であることを再確認し、3次元多様体の基本群との類似性を関連資料の収集・購読を通して比較考察した.さらに、その円分Z_2拡大の部分拡大体全ての2-類体塔のGalois群の構造と岩澤理論的振る舞いを(計算機による2進L関数の零点の近似計算によって)具体的に記述した成果とともに、国内外の研究集会とセミナーにおいて研究発表を行った.これらの活動を通して、一般的に(特に非総実部分は)どのような構造を持つと期待されるべきか、という問いに対する新たな見識を得たが、同時に総実部分の構造を記述することの重要性を再認識するに至り、実2次体の円分Z_2拡大体の2-類体塔を、計算機による数値実験を通して考察した.この成果として、そのGalois群がmetacyclic有限群となる新たな具体例を豊富に発見し、その非可換構造への数論的情報の影響を把握した.以上の成果は、不産物としてGreenberg予想を新たな拡張、および2進L関数の零点の具体的記述に繋がる新たな現象の発見なども誘導しており、当研究課題の目標として一応の満足のいく結果であると思われる.
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Research Products
(3 results)