2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J06903
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
梅村 卓 上智大学, 文学研究科・史学専攻, 特別研究員(DC2)
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Keywords | マスメディア / 中国現代史 / 宣伝 / 新聞 / ラジオ |
Research Abstract |
本年度は本研究課題を遂行する上での準備段階と位置づけ、史料収集を中心に活動した。6月末より半年にわたり中国にて現地調査を行った。まず北京では国会図書館や北京大学図書館にて49年以前の新聞、雑誌、ラジオ関係の資料を収集した。とくに『解放区広播歴史資料選編』は先行研究で用いられていない有用な資料集であり予想外の収穫があった。上海では上海市档案館に赴き、「上海市軍管会新聞出版処曁電台、通信社、出版社、報刊等機構档案彙集」を調査し、関係部分を複写した。この史料は上海解放時の軍事管制委員会による旧メディアの接収過程を浮き彫りにする史料であり、共産党政権がどのようにメディア、宣伝網を確立していったのかを明らかにする上で不可欠なものである。 この資料収集においては一時史料である新聞史料のマイクロフィルム化も大きな目的であった。現在日本の研究機関が所蔵しているものは中国共産党機関紙など一部の代表的な新聞だけであり、新聞資料の利用は大きく制限される。そこで本研究では将来的な研究の発展を見据え、先ず中国国家図書館において新聞資料のマイクロフィルム化を図る必要があった。国家図書館では『晋察冀日報』『晋冀魯予日報』『辺区群衆報』などを複製し、満足のいく成果が得られた。 またこの調査中に中国人研究者との交流も深め、本研究課題に必要な新たな知見が得られた。北京大学では特別に新聞研究院の授業に参加することができ、新聞の編輯など歴史学に止まらず中国現地におけるマスメディア教育の一端に触れることができた。また歴史学部では留学中での関係を生かし、抗日、解放戦争時期の中国共産党の政治史に詳しい劉一皐教授の指導を受けることができた。劉教授はメディアを通じた宣伝活動にも詳しく、当該時期に中国共産党が如何にメディアを利用していたか等について討議を重ねた。
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