2006 Fiscal Year Annual Research Report
量子群における結晶基底の多面体表示とその構造について
Project/Area Number |
05J06920
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
星野 歩 上智大学, 理工学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 量子群の表現論 / 結晶基底 / 多面体表示 / 組合せ論的表現論 |
Research Abstract |
量子群は温度のパラメータqを持ち、q→0の極限においてその冪零部分代数と可積分最高ウェイト表現は結晶基底という性質の良い基底を持つ。その基底(それぞれB(∞),B(λ))は組合せ的な記述を持ち表現論を簡潔に記述できるが、その具体的な記述は一般に易しくない。Kac-Moody代数一般における統一的でかつ簡潔な記述を得るために中島とZelevinskyは多面体表示という手法を導入した。多面体表示とは連立一次不等式系によって定められた領域の整数点として結晶基底を表示する手法である。これまで彼らにより古典A型、アフィンA型、rank 2一般の場合、また本研究において例外型を含むすべての半単純型に対してB(∞),B(λ)の多面体表示は得られていた。今回この結果を用い、Littlewood-Richardson規則、つまりテンソル積の重複度を例外型を含むすべての半単純型で具体的に記述することに成功した。また無限系列アフィン型のB(∞),B(λ)についてもある程度の結果を得ることに成功している。さらに本研究ではLusztigによって導入された変形量子群の結晶基底を多面体表示を用い記述している。変形量子群の表現を用いると量子群の最高もしくは最低ウェイト表現でない可積分な表現を扱うことが出来、その結晶基底を記述することは重要なことであるが一般にその基底は既約(連結)ではない。本研究において単位元を含む連結成分を古典A型と最高ウェイト表現のアフィンA(1)n-1型の多面体表示は得られていた。また本研究においてすべてのrank 2の場合の単位元を含む連結成分の多面体表示を得ることに成功した。この記述においては最高または最低ウェイトの具体形も書き下すことに成功している。
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Research Products
(1 results)