2007 Fiscal Year Annual Research Report
米墨国境地帯先住民の越国境移動と文化保持および移住地における社会的発展への取り組み
Project/Area Number |
05J06929
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
水谷 裕佳 Sophia University, 外国語学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 先住民 / 米国・メキシコ国境 / 移動 / 移住 / 米国 / ラテンアメリカ / 人類学 / ヤキ |
Research Abstract |
委託研究制度により、カリフォルニア大学バークレー校(以下UCB)において訪問研究員として長期の現地調査を行った。UCBにおいては、当該研究に必要な歴史的資料の収集および関連分野の文献購読、さらに他の研究者との意見交換を行った。また、UCBを足がかりとして、スタンフォード大学(カリフォルニア州スタンフォード市)、パスクア・ヤキ居留区(アリゾナ州トゥーソン市)、トゥマカコリ国立歴史公園(アリゾナ州トゥマカコリ市)においても調査や資料の収集を行った。 具体的には、パスクア・ヤキを具体的な事例として、20世紀に米国・メキシコ国境地帯を越えて移住した先住民について、彼らを取り巻いた社会環境の変化がどのように伝統的文化や社会形態の変化に関与したか明らかにしようと試みた。社会環境の中でも、政治や法は特に強い力を持っていると考えられるため、これらに重点を置いて調査が進めた。また、米国・メキシコ国境の他にも、米国・カナダ国境における先住民の移住についての文献調査を行い、対比する例として提示した。 研究成果の一部は、2008年3月にスタンフォード大学で開催された、Native American Research Conferenceにて、口頭発表の形で発表された。その他の研究成果については、現在投稿論文および国際学会における口頭発表として発表準備が進められている。 平成19年度は、3年間に渡って行われた本研究課題の最終年度であった。第一年目はパスクア・ヤキの国境を越えた移住おける自然環境の変化について、第二年目は同民族の移住における社会環境の変化について、さらに米国における先住民イメージの変遷とのかかわりについて、第三年目は社会環境のなかでも政治的、法的要因の追求と、米国・カナダ国境における先住民移住との違いや共通点について、研究が行われた。それによって、パスクア・ヤキの移住における文化や社会の変化は、移住先の米国での先住民法や先住民を取り巻いた社会変化が大きく影響しているのではないか、という結論に達しつつあるが、さらに詳しい調査と分析が必要であると思われる。
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Research Products
(1 results)