2005 Fiscal Year Annual Research Report
精神神経疾患発症に関連する新規ヒト脳組織特異的刷り込み遺伝子の同定
Project/Area Number |
05J06958
|
Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
大塚 晋 鳥取大学, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 自閉症 / ゲノム刷り込み現象 / DNAメチル化 |
Research Abstract |
私はヒト脳組織における刷り込み遺伝子の網羅的解析を行う為にメチル化DNA結合カラムを作成している。本法はメチル化DNA結合蛋白質であるMECP2のMBDドメインが組み込まれたプラスミドを大腸菌に形質転換させ、蛋白質を精製した後担体と結合させる。これまでにプラスミドを保持する大腸菌株の作成を完了し、蛋白質の抽出、精製、カラムの作成条件および使用条件の検討を行っている。今後正常ヒト脳組織より抽出したゲノムDNAを用いてメチル化状態の解析を行う。 また、自閉症発症に関与する新規刷り込み遺伝子同定を目的に、これまでに自閉症との関連が示唆されてきた遺伝子のゲノム刷り込み解析および、自閉症患者検体における差異の有無を調査した。データベースより、既知の刷り込み遺伝子、刷り込みが示唆される自閉症候補遺伝子、発生や脳の機能に関与する遺伝子を検索し、1q42、3p25、3q28-q29、4q32-q33、9q34、15q11-13、16p13.2、17q11、18p11、22q11領域に存在する16遺伝子のDNAメチル化解析、遺伝子発現量の解析を行った。また、ヒト2番、7番染色体上の新規刷り込み遺伝子の同定を試みた。自閉症感受性領域および、既知の刷り込み遺伝子近傍に存在する遺伝子、脳において発現が認められる遺伝子についてDNAのメチル化解析を行った。本研究には、鳥取大学倫理委員会の承認を得て正常ヒト脳組織、リンパ芽球および自閉症患者のリンパ芽球を用いた。現在までに新規刷り込み遺伝子の同定には至っていないが2番染色体上に新規刷り込み遺伝子が示唆された。また、ヒト15番染色体上の既知の刷り込み遺伝子の発現量が、リアルタイムPCR解析により自閉症において低下している可能性が示唆された。また、ヒト4番、18番染色体上の遺伝子の転写開始領域近傍に存在するCpGアイランドのメチル化状態が正常と患者で異なる結果が示唆され、現在詳細な解析を行っている。
|