2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J06985
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Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
工藤 基徳 北陸先端科学技術大学院大学, マテリアルサイエンス研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | アルギニンメチルエステル / アミロイド / 加熱凝集 |
Research Abstract |
タンパク質は常に唯一の立体構造を持つのではなく、溶媒条件によってその構造が変化する。変性したタンパク質は会合して凝集体を形成する。タンパク質凝集体は形態的にアモルファスな凝集体とアミロイド線維の二種類に大別できる。近年はすべてのタンパク質がアミロイド線維を形成するといわれおり、アミロイド線維を理解するために、本研究ではタンパク質の会合に働く相互作用を見出すことを目的とした。 アルギニンメチルエステルの添加はニワトリリゾチームの中性条件における加熱凝集を強く抑制するが、酸性条件におけるアミロイド様線維の凝集においては、線維間の会合を促進しゲル化することがわかった。このゲル化は、アルギニンメチルエステルと同じく加熱凝集抑制剤であるアルギニンの添加では誘導されなかった。アルギニンとアルギニンメチルエステルの添加による遮蔽効果を見積もるため、アミロイド線維近傍のデータ電位を測定したところ、50-200mMの濃度範囲では変化がなかった。このため、アミロイド線維のゲル化は、アルギニンメチルエステルの添加による電荷の遮蔽ではなく、線維間に介在して形成されていることが示唆された。 蛍光プローブによる観察から、酸性条件によるアミロイド様線維だけでなく、中性付近の加熱凝集も疎水性相互作用と分子間β構造で形成されていることが分かった。位相差顕微鏡による観察から、加熱凝集はオリゴマーが会合して形成されており、塩酸グアニジンを添加するとオリゴマー間の会合が先に解離し、オリゴマーが後に解離する二段階の反応が見られた。加熱凝集は、一般に疎水性相互作用による非特異的な会合と考えられていたが、オリゴマー形成とその会合では安定性が異なるなど一定の規則がみられた。
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Research Products
(1 results)