2006 Fiscal Year Annual Research Report
ウシ卵胞発育と選抜の調節機構:優勢卵胞ダブル選抜モデルを用いた解析
Project/Area Number |
05J07002
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
林 憲悟 岩手大学, 大学院連合農学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 卵胞 / 卵胞発育 / 卵胞選抜 / プロゲステロン / 黄体形成ホルモン / 成長ホルモン |
Research Abstract |
1)優勢卵胞ダブル選抜モデルにおける2個の優勢卵胞の卵胞液内因子の測定 優勢卵胞ダブル選抜モデルで発育する2個の優勢卵胞の卵胞内環境を解析するため、卵胞液中エストラジオール(E2)、プロゲステロン(P)および遊離インスリン様成長因子(IGF-1)濃度を測定し、排卵誘起牛の優勢卵胞および閉鎖卵胞と比較した。優勢卵胞ダブル選抜モデルの2個の優勢卵胞は、ともに卵胞液中E2濃度および遊離IGF-1濃度が高く、誘起排卵牛の優勢卵胞と差はなかった。一方、卵胞液中P濃度は閉鎖卵胞よりも低かった。よって、優勢卵胞ダブル選抜モデルで発育する2個の優勢卵胞は、通常の卵胞発育で選抜される優勢卵胞と同様の健常卵胞であることが示された。 2)ウシ卵胞発育過程におけるLHレセプターおよび成長ホルモン(GH)レセプターmRNA発現の解析 昨年度の結果より、優勢卵胞ダブル選抜モデルおいて、ウシ卵巣から分泌されるPとE2のGH分泌へのフィードバック機構の存在が初めて示唆され、さらに、選抜後の優勢卵胞の発育にGHが関与している可能性が示された。そこで、食肉処理場由来のウシ卵胞を用いて、卵胞発育ステージ毎のLHレセプターおよびGHレセプターmRNA発現を解析した。LHレセプター発現は既報と同様に、卵胞選抜前の小卵胞ではほとんど発現せず、卵胞選抜後の主席卵胞および排卵前卵胞では卵胞膜、顆粒層細胞ともに増加した。一方、GHレセプター発現は、卵胞膜、顆粒層細胞ともに卵胞選抜前の小卵胞よりも、選抜後の主席卵胞で増加し、さらに卵胞膜では排卵前卵胞でより増加することが初めて示された。以上から、GHの卵胞への直接作用は卵胞選抜後の卵胞発育に重要であることが示唆された。
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