2006 Fiscal Year Annual Research Report
黄ダイズにおける種皮着色抑制および種皮着色変異に関する分子機構の解明
Project/Area Number |
05J07007
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
葛西 厚史 岩手大学, 大学院連合農学研究科, 特別研究員DC2
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Keywords | 黄ダイズ / 種皮着抑制 / 種皮着色変異 / I遺伝子 / CHS遺伝子 / PTGS |
Research Abstract |
黄ダイズ種皮は、着色が抑制されているため中の子葉部が薄く透けて黄色く見える。以前申請者らは、その分子機構が、色素生合成経路で働くキーエンザイムであるカルコンシンターゼ(CHS)をコードする遺伝子の転写後型ジーンサイレンシング(PTGS)に起因していることを明らかにした。一方、黄ダイズの種皮着色抑制には、遺伝学的解析からI遺伝子の関与が知られていたが、その構造についてはほとんどわかっていなかった。昨年度申請者らは、I遺伝子候補領域の構造を明らかにした。すなわちCHS遺伝子の一部がインバーテッドリピート(IR)構造を形成しており、その上流にはプロモーターの存在が示唆され、この構造をGmIRCHSと命名した。この構造が転写された場合、CHSの2本鎖RNAが形成され、PTGSを誘導する可能性が考えられる。本年度は、GmIRCHSとCHSのPTGSの関連解明を目指し、以下の2点について詳細な調査を行った。 種皮におけるI遺伝子転写産物の同定 I遺伝子は種皮で働くことが考えられるため、種皮におけるGmIRCHS転写産物の同定をRT-PCR法により行ったところ、GmIRCHS転写産物が検出された。また、IR構造のどこまでリードスルーしているかを調査したところ、部分的ではあるがCHS2本鎖RNAを形成することが判明した。このことから、GmIRCHSがI遺伝子である可能性をさらに強く示唆する結果が得られた。 種皮着色突然変異体におけるI遺伝子候補領域の構造変異機構の解明 昨年度、黄ダイズ品種トヨホマレ(TH)の栽培集団中から見出された種皮着色突然変異体(THM)におけるGmIRCHSの構造変異について調査を行った。本年度、THMとは独立のトヨホマレ変異体(THM(Sa)と表記)が見出され、構造変異領域について調査を行った。その結果、THM(Sa)もGmIRCHSにおいて構造変異が生じており、この領域がI遺伝子である可能性をさらに強く示唆する結果が得られた。さらに、THMとは異なる構造変異機構により生じており、品種によってGmIRCHSの構造変異パターンが決まっているわけではなくランダムに起こることが示唆された
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Research Products
(2 results)