2005 Fiscal Year Annual Research Report
黄ダイズにおける種皮着色抑制および種皮着色変異に関する分子機構の解明
Project/Area Number |
05J07007
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
葛西 厚史 岩手大学, 大学院・連合農学研究科, 特別研究員DC2
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Keywords | 黄ダイズ / 種皮着色抑制 / 種皮着色変異 / I遺伝子 / CHS遺伝子 / PTGS |
Research Abstract |
黄ダイズ種皮は、着色が抑制されているため中の子葉部が薄く透けて黄色く見える。我々の研究により、この着色抑制は、色素生合成に働く重要な酵素カルコンシンターゼ(CHS)をコードする遺伝子の転写後型ジーンサイレンシング(PTGS)に起因していることが判明した。一方、黄ダイズの種皮着色抑制には、遺伝学的解析からI遺伝子の関与が知られていたが、その構造についてはほとんどわかっていなかった。本年度はCHS遺伝子のPTGSとI遺伝子の関連解明を目指し、以下の2点について詳細な調査を行った。 I遺伝子の単離およびその解析 黄ダイズ品種トヨホマレ(TH)およびその栽培集団中より見出された種皮着色突然変異体(THM)を供試したところ、THMではΔCHS3-ICHS1クラスター領域上流に3.3kbの欠失が認められ、I遺伝子の機能に重要な領域が示唆された。そこで、このクラスター上流域をインバースPCR法により単離し、詳細な調査を行った。その結果、ΔCHS3(3'-ΔCHS3)のわずか80bp上流にもう1つのΔCHS3(5'-ΔCHS3)が逆向きに存在し、インパーテッドリピート(IR)構造を形成することが明らかになった。 今まで植物,動物等で、IR構造が転写されることにより生じる2本鎖RNAがPTGSを誘導することが報告されており、今回単離されたΔCHS3のIR領域がI遺伝子である可能性が示唆された。 種皮着色突然変異体(THM)におけるI遺伝子領域の欠失機構の解明 THMにおいて、3.3kbの欠失が起きていることが明らかにされた。このような欠失がどのように生じたかを塩基配列レベルで調査した。その結果、5'-ΔCHS3とICHS1が相同組換えによる乗換えを起こすことによって生じた可能性が示された。また、欠失によってTHMではΔCHS3のIR部分が完全に失われていたことから、ΔCHS3のIR構造が種皮着色抑制に関連することをさらに支持するデータが得られた。
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Research Products
(1 results)