2005 Fiscal Year Annual Research Report
ウラン・トリウムを内包したアクチノイド金属フラーレンの電子状態に関する研究
Project/Area Number |
05J07096
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
秋山 和彦 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | トリウム / ハフニウム / 金属フラーレン / ラジオクロマトグラム |
Research Abstract |
本年度はトリウムフラーレンの比較対象物質となると考えられる擬似同族元素ハフニウム(Hf)を内包した金属フラーレンの合成・分析を中心に行った。 本研究の研究対象の一つであるトリウムは6d軌道と5f軌道のエネルギー準位が非常に近く、化学的性質は同族元素である希土類元素よりはむしろ隣接する周期表第4族元素に非常に類似している。ハフニウムを内包した金属フラーレンの電子状態に関する知見はトリウムの電子状態を議論する上で非常に重要であると考えられる。 ハフニウムを内包した金属フラーレンについてはすでに名古屋大学がHf_2C_2@C_<78>の単離、構造同定に成功しているが、我々は新規のハフニウムフラーレン化学種であるHf_3C_<82>、Hf_2C<82>をHPLC分析、質量スペクトル測定から発見し、電子状態に関する知見を得ることが出来た。 π-π相互作用を主な分離機構としているフラーレン分取用HPLC固定相5PBBカラムを用いたラジオクロマトグラム分析の結果、Hf_3C_<82>の電子状態は(Hf_3)^<8+>C_<82>^<8->またはHf_2C_2@C_<78>と同様カーバイドを内包したものを想定して(Hf_3C_2)^<10+>C_<80>^<10->であることが分かった。また同様のラジオクロマトグラム分析の結果Hf_2C_<82>は(Hf_2)^<8+>C_<82>^<8->の電子状態をもつことが分かった。 現在のところThフラーレンについては複数個金属原子を内包した金属フラーレンの観測は出来ていない。しかしながら、今後の分析の結果複数個金属原子を内包した金属フラーレン化学種が発見された場合、電子状態を議論する上でハフニウムと同様にカーバイドを内包した化学種を想定した議論を展開する必要があるであろう。
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