2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J07106
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
末次 憲之 筑波大学, 大学院生命環境科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 葉緑体光定位運動 / フォトトロピン / シロイヌナズナ / 青色光 |
Research Abstract |
弱光下では葉緑体は効率よく光を吸収するために光に向かって集合し(集合反応)、強光下では光損傷を避けるために光から逃避する(逃避反応)。多くの植物で葉緑体光定位運動は青色光によって誘導される。シロイヌナズナを用いた分子遺伝学的解析から青色光受容体としてフォトトロピン(phot1,phot2)が同定された。集合反応はphot1とphot2の両方によって、そして逃避反応はphot2によってのみ制御される。しかしながら、光受容体の下流で働く信号伝達系の因子や運動系における細胞骨格系を制御する因子に関してはほとんど明らかになっていない。現在までに葉緑体光定位運動に関わる約10遺伝子(PHOT1,PHOT2,CHUP1,JAC1など)が同定されており、現在多面的な解析を行っている。また近年アクチン繊維による葉緑体運動を制御する新規の機構が発見され、現在これらの変異体でのアクチン繊維の動態を詳細に解析している。特に今年は葉緑体運動に異常を持つ新規変異体kac1の解析をおこなった。KAC1変異体は集合反応に異常を持つが、jac1変異体と異なり完全には集合反応を欠損していなかった。さらに細胞の部分照射による詳細な解析の結果、逃避反応時に葉緑体が動くスピードは野生型と比べて遅かった。これらのことから、KAC1遺伝子は葉緑体の集合反応と逃避反応の両方で重要な役割を果たしていることが示唆された。マッピングによりKAC1遺伝子が植物に特有なタンパク質をコードすることが明らかになった。KAC1遺伝子は葉、茎、花および根でその発現が確認された。KAC1タンパク質は主に可溶性画分で検出されるが、膜画分でも検出される。KAC1タンパク質の発現量と細胞内局在パターンはphot1phot2、jac1、chup1のどの葉緑体光定位運動の変異体でも変化がなかった。
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Research Products
(3 results)