2006 Fiscal Year Annual Research Report
メタファーを活用した科学概念の初期理解と科学的理解への移行過程に関する研究
Project/Area Number |
05J07177
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
内ノ倉 真吾 筑波大学, 大学院人間総合科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 教科教育 / 理科 / メタファー / 科学概念 / 理解 / 実感 |
Research Abstract |
教師がもつメタファーの機能についての認識とメタファーの活用の関係を指摘し、その認識に基づいた教師のメタファーの活用の特質の一端を明らかにした。 第一に、教師がイメージの形成・豊富化を重視するとき、視覚的に捉えられない部分にしか対応しないメタファーを用いる傾向があった。そのメタファーの対応関係は比較的明瞭なものであり、教師はベース領域とターゲット領域を対応付けながら説明しようと考えていた。 第二に、教師が動機付けを重視するとき、生徒の心情に訴えかけるものや驚きを生み出すものをベース領域として選択し、それを詳説する傾向があった。また、教師は、メタファーの親近性を高めるために擬人化が有用であると考えていた。加えて、状況に依存してメタファーを活用していることも確認できた。 第三に、メタファーの機能についての先行研究の知見と教師のメタファーの機能についての認識には隔たりがあり、教師はメタファーを有効な教授の手立てと考えているものの、実際の授業ではメタファーの特定の機能ののみが生かされていた。 教師のメタファーにより生徒が実感を得てわかったと感じている場合でも,必ずしも科学概念を理解しているとは限らないことが明らかとなった.教師のメタファーにより生徒が科学概念を理解してない場合であっても実感が得られる状況を指摘した.すなわち,その状況とは,生徒が 1)メタファーの対応関係の一部分を理解できたとき 2)メタファーの比喩的な意味を理解できたとき 3)新しいメタファーを生成できたとき 4)教師のメタファーにより既知のことに新しい見解を加えることができたとき, であった.
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Research Products
(4 results)