2005 Fiscal Year Annual Research Report
メタファーを活用した科学概念の初期理解と科学的理解への移行過程に関する研究
Project/Area Number |
05J07177
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
内ノ倉 真吾 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 教科教育 / 理科 / メタファー / 科学概念 / 誤解 / 意味内容 / 対応関係 |
Research Abstract |
メタファーの活用は、実験・観察によって直接的に学習することが難しい抽象的な科学概念や学習内容を教授学習する際の、有効な教授ストラテジーとしての一つとして知られている。その有効性としては、抽象的概念の視覚化、動機付けが指摘されている。その一方で、メタファーを活用することによって科学概念を誤解するなどの問題点も指摘されている。 まず、どのように子ども達がメタファーを活用して科学概念を誤解しているのか、これまでの先行研究を精査し、その水準の確定に取り組んだ。その結果、先行研究では、メタファーによる科学概念の誤解とは、第一にメタファーの目標領域(ターゲット領域)にはない、つまり、科学概念の意味内容としては適当ではない特性を基底領域(ベース領域)から写像すること、第二、メタファーによって理解した科学概念の意味内容を、適応範囲を超えて活用することであるとされていることが確認できた。前者の例としては、電気回路に水流のメタファーを活用した場合、導線を切ると電気が流れ出てくると思うなどが挙げられる.後者の例としては、脳の記憶にコンピューターのメタファーを活用した場合、感情などの高次機能も一つの情報処理と考えてしまうことなどが挙げられる。 次いで、子ども達がメタファーを活用して科学概念を誤解している状態を、質問紙調査法とインタビュー調査法を併用し、高校生を対象にして実証的に調査した。教授学習が難しいとされている高校化学分野の「物質量」、「電池」について、メタファーを活用することによってどのように理解しているのか、どのように誤解しているのかを分析した。現在、子どもの誤解を類型化し、その特質を検討している段階である。
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Research Products
(3 results)