2006 Fiscal Year Annual Research Report
高エネルギー重イオン衝突実験におけるチャーム起源の電子の方位角異方性の研究
Project/Area Number |
05J07200
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
坂井 真吾 筑波大学, 大学院数理物質科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 高エネルギー原子核衝突実験 / 方位角異方性 / クォーク・グルーオン・プラズマ / charm quark |
Research Abstract |
アメリカ ブルックヘブン国立研究所RHIC加速器でおこなわれた、高エネルギー原子核衝突実験で収集されたデータをもとに、高エネルギー原子核衝突実験におけるチャーム起源の電子の方位角異方性の研究をおこなった。高エネルギー原子核衝突実験の目的は宇宙初期に存在していたと考えられている、クォーク・グルーオン・プラズマ(QGP)の生成である。QGP生成のシグナルには様々なものが提唱されているが、その中でも生成粒子の方位角異方性はQGP生成の有力なシグナルと考えられている。これまでのRHIC実験での方位角異方性の測定から、主にu quarkやs quarkなどの軽いquarkからなる粒子(π中間子、K中間子)の方位角異方性が確認され、その起源がu quarkやs quarkの方位角異方性に起因していることが示されている。もしもu quarkやs quarkよりも重いcharm quarkにも方位角異方性が確認されればこれはQGP生成の有力な証拠となると考えられている。本研究では電子の方位角異方性を測定することによりcharm quarkの方位角異方性の研究をおこなった。昨年度の研究おいてcharm起源の電子もこれまでに測定されているπ中間子などと同じにように方位角異方性を示すことが確認された。本年度はこの結果からcharm quarkの方位角異方性の研究をおこなった。RHICの実験結果をよく再現するモデルの一つにquark coalescence modelがある。このモデルをもとにcharm quarkの方位角異方性の研究をおこなったところ、実験で得られたcharm起源の電子の方位角異方性を再現するにはcharm quarkもu quarkやs quark同様に方位角異方性をもっ必要があることが理解された。
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Research Products
(3 results)