2005 Fiscal Year Annual Research Report
地球温暖化物質亜酸化窒素の低温除去触媒の開発と発生期酸素ダイナミクスの解明
Project/Area Number |
05J07244
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
信川 健 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 亜酸化窒素 / メタン / 鉄ゼオライト / 選択還元反応 / 反応メカニズム / 発生期酸素 / EXAFS / 触媒 |
Research Abstract |
鉄ゼオライト触媒を用いた過剰酸素雰囲気下におけるN_2O選択還元反応では,還元剤としてメタンが最も効果的にN_2Oを除去できる.触媒活性は鉄担持量に大きく依存し鉄担持量が大きい触媒ほど高い触媒活性を示した.これらの触媒をX線吸収微細構造分光法(EXAFS)で解析した結果,フレッシュな触媒上には主にモノマー種とダイマー種の二種類の鉄イオン種が存在していることを明らかにした.ダイマー種の割合は10〜20%と低いが,その活性は非常に高く,モノマー種の17倍の活性を有することが明らかなった.また,ダイマー種が形成されることで,触媒の還元特性や酸素脱離能が飛躍的に向上した.これらの結果は,キャラクタリゼーションの結果と非常に良く一致している.鉄ダイマー種を選択的にゼオライトに固定化するためにクラウンエーテルを用いた触媒調製方法を検討した.この手法によりダイマー種の存在比率を高めることが出来たが,触媒全体の担持量は極めて低く,活性は従来の触媒と同じであった. 不活性なメタンが低温で活性化される反応機構は,N_2O解離直後の酸素原子(発生期酸素)がメタンを速やかに活性化し,その結果鉄イオン種上にメトキシ中間体が形成されることで鉄イオンの酸化還元反応が進行できることを明らかにした.発生期酸素は,鉄イオンダイマー種上に存在する空きサイトで生成する.このサイトはフレッシュな触媒,すなわち鉄が酸化された状態(Fe^<3+>)でも存在し,N_2Oのみが解離出来るサイトであることが明らかとなった。 一方,この空きサイト上に解離吸着した表面酸素はメタンと反応しない.N_2O/CH_4選択還元反応にはN_2Oとメタンの共存が重要であり,解離直後の発生期酸素の存在が反応に非常に重要であることが明らかになった.発生期酸素の重要性は,欧州の研究グループ(Javier Perez-Ramirez et al.)が本研究成果を引用して支持している.
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Research Products
(4 results)