2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J07246
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
老沼 研一 筑波大学, 大学院生命環境科学研究科, 特別研究員(PD)
|
Keywords | シュードモナス / ニトリル / 酵素 / ヘム / 反応中間体 / 反応機構 |
Research Abstract |
Pseudomonas chlororaphis B23由来アルドキシムデヒドラターゼ(OxdA)は、脂肪族アルドキシム[R-CH=N-OH]からニトリル[R-CN]の生成を触媒するユニークなヘム酵素である。一般に、ヘム酵素は酸化還元を触媒するものとして知られているが、ヘムを介した脱水反応は本酵素以外にはほとんど例がなく、反応機構は未知である。我々は、部位特異的変異法やラマンスペクトル法を組み合わせ、320番目のヒスチジン残基がOxdAヘムポケット内部に存在し、活性に重要な役割を担うことを発見した。さらに、OxdA活性のpH依存性がヒスチジン残基のプロトネーションカーブとよく一致することから、低pH側での活性上昇は320番目のヒスチジン残基のプロトン化に起因するものと推察した。しかしながら、本ヒスチジン残基のプロトン化状態の変化を示す直接的なデータはこれまでのところ得られていない。 今回、様々なアミノ酸修飾試薬を検討したところ、ヒスチジンの修飾試薬がOxdAの酵素活性を著しく阻害することを発見した。さらに、OxdAファミリーに保存されたヒスチジン残基のうち、His299(ヘムの軸配位子)、His320以外の残基は酵素活性に直接関与しないことが既に示されていたことから、両試薬のターゲット残基は320番目のアミノ酸残基であると推察した。一般に、両試薬によるヒスチジン残基の修飾は、イミダゾール環がプロトン化した状態ではほとんど進まないことが知られている。そこで、両試薬による活性阻害のpH依存性を検討した結果、両試薬ともに、pH6.5を変極点として阻害効果が低pH側で大きく減少することが判明した。本変化はOxdA酵素活性のpH依存プロファイルともよく一致していた。
|