2005 Fiscal Year Annual Research Report
核移殖と顕微授精技術を用いた雄性生殖細胞ゲノムの全能性と受精能獲得に関する研究
Project/Area Number |
05J07248
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
三木 洋美 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | 実験動物 / 発生工学 / 生殖細胞 |
Research Abstract |
今年度は、主に、マウス卵子体外成熟系の改良および、これを一次精母細胞の顕微授精に応用することを試みた。卵子の体外成熟技術は、卵子の細胞生化学的研究や核置換実験に必須の技術であり、特に、マウスでは、第一減数分裂前の未成熟卵子に一次精子母細胞を授精させることで産仔が得られることが明らかになっている。この技術を応用することで、一次精子母細胞の受精能や、未成熟卵子の持つ特性・能力などを研究することが可能になると考えられる。しかし、このように、未成熟卵子を顕微操作する場合、操作の便宜上、卵子の成熟に必要な卵丘細胞を除去する必要があり、体外成熟の効率が非常に悪くなる。そこで、マウスIVM培地の改変によって、卵丘細胞のない卵子の体外成熟を改善することを試みた。その結果、体外成熟用培地の工夫によって、卵子の体外成熟およびその後の発生の効率が向上した。また、体外成熟環境の違いによって、卵子の細胞生化学的特徴、特に、ミトコンドリア活性とMaturation Promoting Factor (MPF)に差が出ることが明らかとなった。さらに、最も条件の良かった体外成熟系を一次精母細胞の顕微授精に応用した場合、今まで必須であると考えられてきた核置換を伴わずに、産仔を得ることにも成功した。この結果は、マウスにおいて、IVM培地の最適化は、少なくともcumulus-free IVM卵子の質を改善することを示唆している。今後はこの技術を基盤にし、導入された生殖細胞に対して卵子側が与える影響も検討していく予定である。なお、この研究成果に対して、2回(国内1回,国外1回)の学会発表と学術誌への論文発表を行った。 また、その他に、雄性生殖細胞核の発生過程での性質の変化について、定量RT-PCR・免疫染色・DNAマイクロアレイなどを用いた解析が現在進行中であり、来年度は、これをさらに進めていく予定である。
|
Research Products
(1 results)