2006 Fiscal Year Annual Research Report
点変異mtDNA導入によるmtDNA改変マウスの作製と病態発症機構の解明
Project/Area Number |
05J07265
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
笠原 敦子 筑波大学, 大学院生命環境科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ミトコンドリア / ミトコンドリアDNA / ミトコンドリア病 / 点変異mtDNA / 解糖 / 呼吸鎖酵素活性 |
Research Abstract |
様々な点変異mtDNAsがミトコンドリア病、糖尿病、神経変性疾患の患者、さらには老化個体から見出されている。しかし、両者の因果関係や点変異mtDNAに起因する詳細な病態発症機構の解明はほとんどなされておらず、効果的な治療法の探索などは皆無に等しい。このような現状を打開し、臨床に応用可能でかつ有効な治療法を確立するためには、モデルマウスを用いた研究戦略が最も有効である。前年度、点変異mtDNAを導入した病態モデルマウス(mito-mice^<COI>)の作製に世界に先駆けて成功している。このマウスは、ES細胞を介して呼吸鎖酵素複合体の一つである、チトクロームcオキシダーゼ(COX)のサブユニットCOI遺伝子のミスセンス変異をマウス個体内に導入することにより作製することができた。本年度はmito-mice^<COI>のより詳細な病態解析を行ったところ、このマウスは全身に100%の割合でこのミスセンス変異を有しており、様々な組織のCOX活性低下、高乳酸血症を呈していた。しかし、それ以外の重篤な臨床症状は呈していない。そこで、mito-mice^<COI>の様々な組織のATP量を測定したところ、野生型とほとんど同程度のレベルであった。つまり、COX活性低下によるエネルギー不足を補うために、解糖が亢進し、ATP量を正常レベルに維持していることがわかった。また、この解糖の亢進により、高乳酸血症を呈していると思われる。
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