2005 Fiscal Year Annual Research Report
様々な遺伝子操作動物を応用した睡眠覚醒関連神経回路網の機能的同定
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05J07281
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
辻野 なつ子 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | オレキシン / コレシストキニン / CCKA受容体 / スライスパッチクランプ / イメージング / トランスジェニックマウス / 睡眠覚醒 / カルシウム感受性タンパク質 |
Research Abstract |
カルシウムイメージング法を用いてオレキシン神経活動に影響を与える物質のスクリーニングを行い、新たな調節物質として、ニューロテンシン、コレシストキニン、バソプレシン、オキシトシンを同定した。なお、コレシストキニン(CCK-8S)についてオレキシン神経特異的に緑色蛍光タンパク質を発現するトランスジェニックマウスを用いスライスパッチクランプ法により、その作用機序を解析した。CCK-8Sの反応はCCKA受容体阻害薬で阻害薬濃度依存的に阻害され、また、CCKB受容体作動薬では反応は見られなかった。さらにオレキシン神経細胞上にCCKA受容体が発現していることを免疫組織化学的解析により確認しており、CCK-8Sによる作用はCCKA受容体を介していることが明らかになった。また、CCK-8Sによる内向き電流は細胞外液のNa除去により、ほぼ消失し、細胞外のCaの除去で増大した。さらに内向き電流は非選択的陽イオンチャネルの阻害薬で抑制された。以上から、CCK-8SはCCKA受容体を介して非選択的陽イオンチャネルの開口を引き起こし、オレキシン神経を脱分極させることが明らかになった。次に、細胞内カルシウム上昇の機序について検討した。電位依存性カルシウムチャネルの阻害薬で、細胞内カルシウムイオン濃度の上昇の持続時間は抑制されたが、カルシウム濃度上昇のピーク値は変化なかった。一方、非選択的陽イオンチャネルの阻害薬でカルシウム濃度上昇が抑制されたことから、細胞内カルシウム濃度上昇に非選択的陽イオンチャネルの関与が示唆された。CCK-8S、バソプレシン、オキシトシンは脳内に広く発現しており、扁桃体での発現も確認されていることから、これらが情動による睡眠覚醒調節に関与している可能性が示唆された。
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Research Products
(1 results)