2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J07340
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
高梨 和憲 筑波大学, 大学院数理物質科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 有機化学 / 多元素環状分子 / 芳香族性 / ケイ素 / シクロブタジエン / ロジウム / タングステン / 白金 |
Research Abstract |
多元素環状分子は多元素から分子が構成される故に多様な分子設計が可能であり、同一元素からなる分子では考えられない物性を示すことが期待され、分子を創造するという観点から非常に重要かつ魅力的なターゲットである。本研究は新たな多元素環状分子を合成し、その構造・性質を解明し、高周期典型元素環状化合物の系統的な理解を深め、一般性の高い元素論の構築を目指したものである。これまでに骨格が全てケイ素からなるシクロブタジエンを配位子とした鉄、ルテニウム、コバルト錯体の合成、構造解析に成功している。本年度は昨年度までに得た知見を生かし、テトラシラシクロブタジエン遷移金属錯体の化学のさらなる拡張を行った。 反芳香族化合物、シクロブタジエンを安定化する手法の一つが遷移金属に配位させることであり、シクロブタジエン遷移金属錯体の化学は展開されてきている。その骨格元素を全てケイ素に置き換えたテトラシラシクロブタジエン遷移金属錯体の合成を行った。テトラシラシクロブタジエンジアニオンを前駆体とし、テトラシラシクロブタジエンを配位子としたシクロペンタジエニルロジウム錯体、ジカルボニルロジウムアニオン錯体を合成し、その構造をX線構造解析により明らかにした。この手法を拡張することで、対応する配位子を有する6族タングステン錯体、10族白金錯体の合成も達成した。さらに、高周期元素シクロブタジエン遷移金属錯体で得た知見を、炭素の化学ヘフィードバックさせることで、これまで達成されていない手法によって、炭素シクロブタジエン遷移金属錯体を合成することにも成功した。 特に、ロジウム錯体に関しては、以前に合成に成功している同族コバルト錯体、炭素シクロブタジエンコバルト、ロジウム錯体との比較を行うことで、系統的な議論を行うことが可能となり、シクロブタジエン骨格元素、中心金属が変化することで、興味深い構造変化を示すことを明らかにした。
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Research Products
(2 results)