2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J07342
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
小泉 智史 University of Tsukuba, 大学院・数理物質科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 単分子磁石 / 混合原子化錯体 / マンガンイオン / 磁気異方性 / 分子磁性 / 量子スピン / 量子スピン |
Research Abstract |
一軸性の負の磁気異方性を有する基底高スピン多核錯体は分子でありながら磁気ヒステリシスを示す単分子磁石となる。単分子磁石は分子メモリとしての利用が期待されるほか、メゾスコピック系特有の量子物性を示すことから注目を集めている。本研究においては、単分子磁石となる異核金属多核錯体、混合原子化多核錯体を系統的に合成し、物性制御することを目的とする。さらに、金属錯体の対称性を考慮することで特異なスピントポロジーをもたせ、スピンフラストレーションなどの興味深い物性発現を誘起することを目的とする。 第一に、多数の異なる酸性度をもつ架橋部位を導入した新規有機多座配位子を合成し、混合原子化Mn多核錯体の合成を行った。その結果、反応溶液のpHを制御することで、Mn(II/III/IV)混合原子価11核錯体とMn(II/III)混合原子価一次元錯体の作り分けに成功した。さらに、前年度に報告したMn(II/III)7核単分子磁石の量子スピントンネリングのダイナミクスについての研究を論文にまとめた。この成果は欧州主要化学雑誌の表紙にトピックとして採択された。 また、単分子磁石の合成・物性測定のみならず、金属イオン間に反強磁性的相互作用がはたらく環状鉄多核錯体を数種合成し、パルス磁場測定によって磁化のステップ挙動を観測した。また、その量子スピントンネリングのギャップに対する対称性の効果についても検討を行った。さらに、対称性を考慮した三回対称性をもつ新規有機配位子を合成し、三回対称性をもつ新規Ni(II)3核を合成した。同様に擬三回対称性をもつ有機伝導体の前駆体も合成した。この前駆体は金属イオンを配位させ、部分酸化を行うことにより、伝導性と磁性の相乗効果による新規物性発現に期待がもてる。
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Research Products
(4 results)