2006 Fiscal Year Annual Research Report
生体防御の基盤となるNrf2-Keap1システムの分子機構の解明
Project/Area Number |
05J07359
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
高木 やえ子 筑波大学, 大学院人間総合科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 生体防御 / Nrf2 / Keap1 / ゼブラフィッシュ / 親電子性物質 / ENU |
Research Abstract |
生体は、親電子性の化学物質にさらされると、それらを代謝し解毒する生体防御遺伝子群を誘導する。この誘導機構の根幹を担っているのがNrf2-Keap1システムであるが、親電子性物質刺激がどのようにNrf2-Keap1システムに伝えられるのかなど、その詳しい分子機構はいまだ不明な点が多い。 本研究では、Nrf2-Keap1システムにおける未知の分子機構を明らかにすることを目的とする。昨年度までに、突然変異剤ENUを用いてゲノムに変異を導入したゼブラフィッシュライブラリーの中から、親電子性物質DEMまたはAuranofinに対する生体防御遺伝子gstpの誘導が異常になる系統を探索し、2系統(it567、it664)の系統化に成功した。本年度は以下のような実績をあげた。 昨年度系統化に成功した系統の一つであるit567系統に関してポジショナルクローニングによる原因遺伝子同定を試みた。その結果、5番染色体上に存在する遺伝子Aが候補遺伝子として見いだされた。it567系統はDEMとAuranofinの両方に対する生体防御遺伝子gstpの誘導が異常になる系統であることから、遺伝子Aはこの両親電子性物質に対するgstpの誘導機構に関わる遺伝子であると期待される。また、本年度、新たに2系統(it864、it275)の系統化に成功した。it275系統はDEM処理では正常な誘導が観察されるが、Auranofin処理では誘導の減弱が観察されるというものである。この系統に関してもポジショナルクローニングによる原因遺伝子同定を進めており、現在までに、原因遺伝子が21番染色体に存在することが明らかとなっている。今後はこれらの系統の原因遺伝子同定をさらに進めるとともに、原因遺伝子の詳しい分子解析を行う。これにより、Nrf2-Keap1システムに関わる新たな分子機構を見いだすことが出来ると考えている。
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