2007 Fiscal Year Annual Research Report
生体防御の基盤となるNrf2-Keap1システムの分子機構の解明
Project/Area Number |
05J07359
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
中島 やえ子 (高木 やえ子) University of Tsukuba, 大学院・人間総合科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 生体防御 / Nrf2 / Keapl / ゼブラフィッシュ / 親電子性物質 / ENU |
Research Abstract |
Nrf2-Keaplシステムは親電子性物質や酸化ストレスの刺激によりそれらを代謝、排出する働きをする遺伝子群を転写誘導するシステムである。本研究では、このシステムに関わる未知因子を見いだすことを目的に、Nrf2の標的遺伝子であるgstp1遺伝子のDiethylmaleate(DEM)またはAuranofin(AF)に対する発現誘導が異常になる突然変異系統のスクリーニングを行った。その結果、10の変異系統が見出されたが、本年度は主にit567系統の解析を行った。 it567系統はDEMとAFの両方に対する発現誘導が減弱した変異系統として単離された。責任遺伝子マッピングの結果、昨年度までに、クロマチン関連因子Aがその責任遺伝子として見いだされた。今年度は、このクロマチン関連因子Aを用いた解析を行った。まず、野生型ゼブラフィッシュを用いてA遺伝子のノックダウン解析を行ったところ、it567系統と同様、DEMとAFに対するgstp1遺伝子の誘導が減弱した。また、ゼブラフィッシュ初期胚を用いて過剰発現解析を行ったところ、gstp1遺伝子の誘導は増強された。これらの結果より、AはNrf2の標的遺伝子の誘導を活性化する働きがあると示唆された。また、AはHAT複合体やクロマチンリモデリング複合体の構成因子であることが報告されている。そこでこれらの複合体がNrf2の転写活性に寄与している可能性を考え、各複合体の中心となる因子のノックダウン解析を行った。その結果、クロマチンリモデリング複合体に含まれる因子をノックダウンした際に、it567系統と同様、DEMとAFに対するgstp1遺伝子の誘導が減弱した。このことから、Tip49bを含むこのクロマチンリモデリング複合体がNrf2による標的遺伝子の転写活性化に必要である可能性が考えられた。
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Research Products
(4 results)