2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J07362
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
中埜 貴子 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 免疫 / ペア型受容体 |
Research Abstract |
新規ペア型受容体として当研究グループは近年、MAIR-I, IIを同定し、これまでに報告している。最近、このMAIR分子は9つの遺伝子によりファミリーを形成している事が明らかになり、申請者は新たなMAIR分子、MAIR-VIIについて解析を行なっている。 MAIR-VIIの分子機能の解析に先立ち、抗MAIR-VIIモノクローナル抗体の作製及び、種々のトランスフェクタントの作製を行なった。以下はそれらを用いて得られたデータである。 1.MAIR-VIIの発現様式 様々な種のセルラインでトランスフェクタントを作製したところ、いずれのラインでもMAIR-VIIは遺伝子導入効率依存的な細胞表面上への発現を認めた。通常、MAIR-VIIのように膜貫通領域に荷電アミノ酸を持つ受容体は、アダプター分子と会合する事で初めて細胞表面上に発現する事が可能となり、受容体のみの遺伝子導入では発現を認める事ができない。このことから、MAIR-VIIはアダプター非依存的に細胞表面上に発現する事ができる、他の免疫受容体とは異なる発現様式を持つ受容体である事が示唆された。 2.MAIR-VII発現細胞の同定 抗MAIR-VIIモノクローナル抗体にてマウス細胞を染色し、FACSにて解析を行なったところ、脾臓中のマクロファージおよび樹状細胞、腹腔滲出細胞(PEC)中のマクロファージおよび顆粒球においてMAIR-VIIの発現が認められた。MAIR-VIIはMAIR-IMAIR-IIと同じく骨髄球系の細胞に発現し、生体内で何らかの役割を果たしているものと考えられる。 3.MAIR-VIIの機能 MAIR-VIIの発現がPECマクロファージ上で認められた事から、この細胞を抗MAIR-VII抗体にて刺激し、反応性を解析した。抗MAIR-VII抗体によるプレートコート刺激下で48時間培養したところ、培養上清中に炎症性サイトカインであるTNFαの産生を認めた。この事から、MAIR-VIIは生体において活性化シグナルを伝える受容体として寄与している事が示唆された。 以上のデータを踏まえ、現在はMAIR-VIIの下流分子の探索を中心に研究を進めている。
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