2006 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者介護をめぐる高齢者・家族・サービス提供者の三者関係と在宅サービスの展望
Project/Area Number |
05J07404
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
齋藤 曉子 お茶の水女子大学, 生活科学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 家族社会学 / 福祉社会学 / 福祉政策 / ジェンダー / 家族支援 |
Research Abstract |
申請者は、「高齢者ケアにおける公私の連携」という課題で研究を行った。従来の介護研究は、もっぱら公・私の介護者の視点で行われおり、利用者の視点は、重要性が認められていながら、実証研究が困難なために著しく手薄な領域であった。こうした状況のなかで、申請者は、複数の在宅の寝たきり高齢者(および家族介護者、サービス提供者)とのラポールの形成に成功し、継続的な面接調査を実施し、その成果を論文として公刊した。長期間に渡る介護のプロセスの過程で、介護に関わるアクター三者のデータの蓄積は、先行研究にも例がない貴重な研究と言える。 さらに、ミクロレベルの質的な実証研究のみならず、マクロな社会政策論およびメゾレベルの組織論やサービス供給についても、理論的・実証的な問題関心があり、国内だけでなくイギリス・北欧の福祉政策についての蓄積がある。国内では、国民生活基礎調査のデータから介護保険制度下における家族介護の概要把握の報告書を執筆した。さらに、福祉の多元化状況を明らかにするため、介護保険制度適応内・外の多種類の介護サービスを対象に検討を行った。制度内サービスとして、東京都内の多元的な事業所に所属するケアワーカーへ、労働状況に関する定量・定性調査を行い、定性調査の結果を論文として公表した。制度外サービスでは家政婦に着目し、介護保険制度導入前後の労働状況およびサービスの提供状況を俯瞰し、制度改正による家事援助の位置づけの変化が、家政婦を含めたケアワークの変容にもたらす影響について考察し、論文として公刊した。2005年からは、ノルウェー人研究者と共同で在宅サービスに関する国際比較研究に着手し、日本とノルウェー両国で同一調査設計での定量・定性調査を行った。この調査結果の一部をもとに、自治体中心のノルウェーと、多元化状況である日本とのヘルパーの労働状況および労働の範囲、規範などを比較し国際学会で報告した。
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Research Products
(4 results)