2006 Fiscal Year Annual Research Report
ロックの自然主義的認識論の研究と、その現代的意義の解明
Project/Area Number |
05J07466
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
青木 滋之 名古屋大学, 情報科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | ジョン・ロック / 自然主義 / 認識論 / 実験哲学 / 王立協会 / 近代粒子説 / デカルト / シドナム |
Research Abstract |
2006年度の主な実績としては、学術論文1本、研究会/学会での発表4回、辞典項目2点が挙げられる。いずれも、ロックおよび現代の自然主義認識論の裾野を広げる研究として位置づけられる。 学術論文(Nagoya Journal of Philosophy)では、現代自然主義認識論の1バージョンである、知識論での経験的アプローチを標榜するコーンブリスの自然種理論を分析評価した。その結果、コーンブリス説は幾つかの点で修正が要されるものの、その体系性・具体性という点において有望な自然主義認識論のプロジェクトであることを明示した。 4回の研究会・学会発表のうち、初めのもの(日本哲学会)は、アプリオリな方法論により物質の本質を延長とするデカルトに対し、実験的な方法論によって物質の本質を漸次的に明らかにしていくべきであるとするロックの経験的認識論を取り上げ、それが当時未だ揺籃期にあったイングランド実験哲学の土台作りに寄与するものであったことを明らかにした。2-3回目の発表(京都科学哲学コロキアム・科学基礎論学会)は上記学術論文の土台となったものである。4回目の発表(イギリス哲学会総会)では、イギリス経験論の端緒となったロックの記述的方法論の起源がシドナムの医学方法論にあったことを綿密なテキスト考証から明らかにした。 辞典項目(『イギリス哲学・思想辞典(仮題)』における「第一性質と第二性質」「ロイヤル・ソサエティ」)では、ロックまでの近代粒子説の発展史、およびロックによる王立協会の認識論的擁護を含んだ叙述を行い、本年度までの研究成果の定式化を公にした。
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Research Products
(1 results)