2007 Fiscal Year Annual Research Report
ロックの自然主義的認識論の研究と、その現代的意義の解明
Project/Area Number |
05J07466
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
青木 滋之 Nagoya University, 情報科学研究科, 特別研究員PD
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Keywords | ジョン・ロック / 自然主義 / 認識論 / イギリス経験論 / 王立協会 / 実験哲学 / シドナム / グランヴィル |
Research Abstract |
2007年度の実績としては、共著1冊、学術論文2本、研究会/学会での発表4回が挙げられる。ロックの認識論の起源、展開、および後世への影響という側面から、ロック哲学を科学史の中に位置づけ、自然主義認識論の活きた歴史的事例として扱う研究を主に行った。共著(Studies on Locke:Sources,Contemporaries,and Legacy)では、国内外でも十分な研究が行われていないロックの物質概念について論じ、ロックが行ったデカルト批判および経験的な物質探求の方法論の提唱が、ボイルを始めとするイングランド実験哲学者の認識論的な基盤を与えるものであったことを明示した。2つの論文では、ロックの認識論が17世紀のイングランド実験医学に起源を持つことを詳細にし(『イギリス哲学研究』)、また、その体系性により初めてイングランド実験哲学の認識論的原理の定式化に成功したものであったことを、先行するフックやグランヴィルらの認識論との比較研究によって明らかにした(Nagoya Journalof Philosophy)。4回の研究会・学会発表のうち、後者の2つ(ジョン・ロック研究会、イギリス哲学会総会)では、そうしたロックの認識論が、ニュートン自然学と親和性を持ち、18世紀のニュートン自然学の認識論的基盤を提供するものとしてニュートン主義者に取り込まれていった点を明らかにした。前者の2つ(創造的哲学者の会、科学基礎論学会講演会)では自然主義認識論の現代的展開を追及し、認知行動学に基づいた経験的アプローチが、自然主義の代表的立場である信頼性主義をどのように変容させていく可能性があるのかを論じた。
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Research Products
(8 results)