2005 Fiscal Year Annual Research Report
情動発現の神経基盤及びその制御機構の解明-前頭眼窩野とドーパミンに着目して-
Project/Area Number |
05J07478
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松永 昌宏 名古屋大学, 環境学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | ポジティブ感情 / ナチュラルキラー(NK)細胞 / Positron Emission Tomography (PET) / ドーパミン |
Research Abstract |
「病は気から」というように、感情と身体は密接な関係がある。Sheldon Cohenらは、Psychosomatic Medicine(2003)において、日頃「楽しい」「嬉しい」といったポジティブな感情をよく喚起している人たちは、より健康的で風邪をひきにくいという報告をしている。しかしながら、こうしたポジティブな感情が免疫系などのシステムに影響を及ぼしているという生物学的基盤は今のところ得られていない。そこで今年度、本研究ではこうしたポジティブ感情に着目し、ポジティブ感情発現の脳内神経基盤及び感情が神経系、内分泌系、免疫系に及ぼす影響を明らかにする研究を行った。実験の結果、活気を高めるポジティブ感情(異性への好意など)は、血中リンパ球におけるナチュラルキラー細胞の比率を増加させる機能があることが明らかになった(American Psychosomatic Society, 64^<th> Annual Meetingにて発表)。この変動を導く感情発現の脳内神経基盤を明らかにするために、H_2^<15>Oを用いたPositron Emission Tomography(PET)により脳内活動を測定したところ、活気を高めるポジティブ感情喚起時にはドーパミンが豊富に存在する脳部位(前頭前野、基底核など)が賦活している事が示された。したがって、活気を高めるポジティブな感情発現には、脳内ドーパミンの働きが重要である事が予想され、またその感情は自然免疫系の活性化を促すことが示唆された。
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