2006 Fiscal Year Annual Research Report
地磁気擾乱時における中緯度電離圏へのエネルギー輸送機構の研究
Project/Area Number |
05J07516
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
津川 卓也 名古屋大学, 太陽地球環境研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | GPS / 電離圏 / 全電子数 / フレア / 伝搬性電離圏擾乱 / 大気光 / ISレーダー / 南北半球非対称性 |
Research Abstract |
●GPS受信機網を利用した太陽フレアに伴う電離圏応答の研究 2000-2006年の7年間におけるGPS受信機網ネットワークのデータから、電離圏全電子数(TEC)データを算出し、大規模太陽フレアによる全電子数突然増加(SITEC)の太陽天頂角、緯度、地方時、太陽活動度に対する依存性を統計的に調べた。また、MSISE-00大気モデル、及びTIMED衛星データを利用して電離圏高度のO/N_2比を調べ、SITEC観測結果との比較を行った。 その結果、SITECは太陽天頂角(cosθ)に対して1次式でよく近似できるが、無視できないほどのばらつき(残差δ)があった。δの緯度依存性から、冬半球の方が夏半球より大きいことがわかった。一方、地方時に対する依存性はほとんど無かった。同様の傾向は、O/N_2比でも見られた。SITECとO/N_2の夏冬半球非対称性の強さは、2000年から徐々に減少し、太陽活動度と良い相関があった。本研究により、SITECは太陽天頂角だけでなく、電離圏のO/N_2比にも依存しており、その依存性は、季節変化だけでなく、年々変化にも現れていることが明らかになった。 ●米国のGPS受信機網を利用した伝搬性電離圏擾乱の研究 米国のGPS受信機網を利用して、米国上空(70-130°W、28-48°N)のTEC2次元マップを作成し、伝搬性電離圏擾乱(TID)の観測を行った。TECマップは、60分以下のTEC変動成分を、空間解像度〜100km、時間分解能30秒で、電離圏高度300kmに投影した。このような中緯度からオーロラ帯までをカバーし、高時間・空間分解能のTECマップを用いた電離圏観測は過去に例が無い。2006年1年間の初期観測結果から、南西伝搬する夜間中規模TID(波長200-500km)の波面が観測領域以上に広がることなど、未解明だった中〜大規模TIDの新しい特徴を明らかにした。
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Research Products
(4 results)