2005 Fiscal Year Annual Research Report
海洋産アルカロイドzoanthamine類の効率的な合成法開拓
Project/Area Number |
05J07523
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
高村 浩由 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助手
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Keywords | 骨粗鬆症 / ノルゾアンタミン / 合成研究 / カルベノイド / 三成分連結 / シクロプロパン化 / 天然物 |
Research Abstract |
現在、日本では骨粗鬆症患者数は1000万人にものぼると言われており、これからの高齢化に伴い患者数はさらに増加すると考えられている。また欧米では、寝たきりの原因の一位が骨折であり、今後日本においても、生活様式の変化に伴い骨折による寝たきりが増加することが予想されている。このような社会背景の中、刺胞動物の一種であるスナギンチャクZoanthus sp.より単離されたノルゾアンタミンIL-6に対し産生阻害活性を示し、ノルゾアンタミンの塩酸塩は、閉経後骨粗鬆症モデルマウスにおいて骨重量、骨強度の低下を強力に抑制することが明らかとなった。このため、本化合物は骨粗鬆症治療薬の候補化合物として注目されるようになった。また、他のゾアンタミン類縁体及び誘導体はヒト血小板阻害活性などの顕著な生理活性を有する。本化合物群は縮環構造上に不斉点が連続しているため、構造的にも興味深く、国内外で合成研究が行われている。全合成が一例報告されているが、改善の余地が残されている。そこで、本研究代表者はカルベノイド種を用いた変換反応がノルゾアンタミンABC環部の合成に適用可能であると考え、研究に着手した。 (+)-プレゴンを出発物質として、A環部に対応するシクヘキセノン誘導体を合成した。このシクヘキセノン誘導体、ジアルキルクープレート、アルデヒドとの三成分連結を行い、カップリング体を立体選択的に得た。この際生じた水酸基をBarton法により除去した後、増炭を行い、ケトエステル体を得た。今後、カルベノイド種を用いたシクロプロパン化反応によりB環を構築し、続くシクロプロパン開裂により、B環上メチル基を導入する予定である。
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