2005 Fiscal Year Annual Research Report
フラビン分子を鍵とする自己集合型機能性超分子複合体の開発
Project/Area Number |
05J07529
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
飯田 拡基 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員PD
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Keywords | らせん誘起 / 記憶 / 光学活性 / 同位体 / ポリイソシアニド / 円二色性 / ロジウム触媒 / アルドール反応 |
Research Abstract |
側鎖にカルボキシル基を有するポリフェニルイソシアニド誘導体(poly-1)は、光学活性なアミノアルコール存在下、一方向巻きのらせん構造を形成し、さらに、誘起された一方向巻きのらせん構造は光学活性アミノアルコールを完全に除去後も、記憶として保持されることが見い出されている。本研究では、フラビン分子を側鎖に有するらせん高分子の構築を目的として、まず、鍵となるらせん状ポリフェニルイソシアニドの構造についての詳細な検討を行なった。同位体ラベルされたpoly-1を新たに合成し、その円二色性、振動円二色性、NMRスペクトルを測定することによりPoly-1へのらせん誘起と記憶の機構とその構造について調べた。 はじめに、poly-1のフェニル基上の水素が重水素化されたpoly-1(D)、poly-1の主鎖の炭素が^<13>C化されたpoly-1(^<13>C)、フェニル基上の水素と主鎖の炭素がそれぞれ重水素化および^<13>C化されたpoly-1(^<13>C,D)、主鎖の窒素が^<15>N化されたpoly-1(^<15>N)の4種類の同位体ラベル化されたpoly-1をそれぞれ対応する同位体ラベル化された原料から合成した。得られた同位体ラベル化ポリマーは、poly-1と同様に光学活性アミノアルコール存在下、一方向巻きのらせん構造を形成し、主鎖の吸収領域に誘起円二色性を示した。また、光学活性アミノアルコールを除去後もらせん構造は記憶として保持された。今後は、一方向巻きのらせん構造が誘起および記憶された同位体ラベル化poly-1の振動円二色性およびNMRスペクトルを測定することによりpoly-1へのらせん誘起と記憶の機構とその構造の解明を目指す。 また、8月1日よりテキサス大学のKrische教授のもとで,アルドール反応に対する高選択的Rh触媒の開発に着手した。その結果、新規に合成した5-tri(2,3-benzofuryl)phosphine(12mol%)とRh(COD)_2OTf(5mol%)をそれぞれ配位子と触媒として用いた1-buten-3-oneと2-nitrophenyl-2-propenalのアルドール反応がsyn:anti=25:1の高いジアステレオ選択性で定量的に進行することを見い出した。
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