2006 Fiscal Year Annual Research Report
環境中における安定性の解明に向けた腐植物質の平均化学構造モデルの構築
Project/Area Number |
05J07530
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
池谷 康祐 名古屋大学, 大学院生命農学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 腐植酸 / 縮合環 / 炭素晶質構造 / 黒色度 / 腐植化度 / 透過型電子顕微鏡 |
Research Abstract |
日本の典型的な各種土壌(黒ボク土、褐色森林土、灰色低地土)から抽出・精製した腐植酸6点を透過型電子顕微鏡観察に供試し、撮影した写真について画像解析をおこない、縮合環サイズや積層数などで評価される炭素晶質構造の発達程度と、土壌の種類や腐植酸の腐植化度(黒色度)との関係を調べた。(1)低倍率(11万倍率)で観察した腐植酸の形態的特徴と、土壌の種類や腐植酸の黒色度との間に関係はみられなかった。(2)高倍率(35万倍率)で撮影した各試料5視野ずつから、試料の厚さが比較的薄い一定領域(15×15nm^2)を選択して画像解析をおこない、炭素晶質構造に対応する縞(以下、フリンジ)を抽出した。同一試料あるいは同一視聾であってもフリンジの太さは様々であり、フリンジの形状は直鎖状のものだけでなく分枝状のものも観察されたため、フリンジの長さ(即ち縮合環サイズ)を計測するのは困難であった。また、いずれの試料においても、フリンジが平行に並んでいる(即ち積層している)ような部位はほとんどみられなかった。フリンジの分布の仕方に試料間で差異が見られなかったことや、黒色度が最も低い試料でもフリンジが一様に分布していたことから、試料調製時における試料分子の分散方法が観察結果に影響を与えたことが推測された。引き続き、試料の分散状態が改善されるような試料調製法を検討し、炭素晶質構造の定量的な評価を目指す。(3)電子線回折像を試料間で比較した結果、黒色度が最も低い試料を含む3点からグラファイトに特徴的な回折像が得られたことから、グラファイト自身の黒色度への寄与は低いことが示唆された。
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Research Products
(1 results)