2005 Fiscal Year Annual Research Report
ラン藻の概日時計による積極的な外部環境情報の取込みに基く新たな時計同調機構の探索
Project/Area Number |
05J07534
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
陸田 径典 名古屋大学, 理学研究科, 特別研究員-PD
|
Keywords | 概日時計 / シアノバクテリア / 転写 / 翻訳 |
Research Abstract |
概日時計を持つシアノバクテリア、Synechococcus elongatus PCC 7942は時計中枢遺伝子kaiABCをコードする。これらはシアノバクテリアの概日時計の自励振動体として機能する一方、自身の転写翻訳フィードバックループを介して、ゲノム上の全遺伝子に概日振動をあたえると推測されてきた。事実、これまでのluxABレポーターを用いた遺伝子発現解析では、概日振動を示さない遺伝子がひとつも見つかっていない。そこで本年度はゲノム上にコードされる全遺伝子が自励振動体からどのように概日情報を獲得するかを検証した。マイクロアレイ解析では、シアノバクテリアの全mRNAの発現挙動を確認したところ、全ての遺伝子がmRNAの蓄積レベルで振動しているわけではなく、全体の約30%のみが転写レベルで発現振動を示すことが明らかになった。また転写レベルで概日発現を行なわない遺伝子は、KaiCタンパク質によるネガティブフィードバック制御を受けないことも明らかになった。すなわち、レポーター遺伝子の発現振幅は、遺伝子発現過程の複数の段階で付与されていることが予測され、外部環境情報の入力系が転写過程だけではなく転写後過程にも影響を及ぼす可能性が示唆された。
|