2005 Fiscal Year Annual Research Report
イネにおけるブラシノステロイドとオーキシンの相互作用機構の解析
Project/Area Number |
05J07571
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中村 郁子 名古屋大学, 生物機能開発利用研究センター, 特別研究員(PD)
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Keywords | イネ / オーキシン / ブラシノステロイド |
Research Abstract |
ブラシノステロイド(BR)は植物の生長を制御するホルモンの一つである。BRI1は、双子葉植物であるシロイヌナズナを用いてBRの受容体であることが示されている。単子葉植物であるイネでは、双子葉植物を用いた研究と比較して、BRおよびオーキシンのいずれも生合成やシグナル伝達の研究は未解明な部分が多いため、私はまずイネにおけるBRおよびオーキシンの作用を明らかにすることを目的として今年度の研究を行った. 所属研究室ではこれまでに10個のイネBRI1遺伝子欠損変異体を単離しており、私はその中で最も強い表現型を示すd61-4に着目して研究を行った。d61-4は地上部では極矮性でねじれた濃緑の葉を持つ一方、地下部では野生型と同様発達した根を持っていた。地上部ではイネで検出される最も活性の高いBRであるカスタステロンが野生型植物の30倍蓄積していたのに対し、地下部では1.5倍の上昇にとどまっていた。また、BRI1の相同性遺伝子であるBRL1およびBRL3の発現を調べたところ、これらの遺伝子は地下部で発現が高く、d61-4では地上部地下部とも発現が増加していた。d61-4では胚の発達にも異常が見られたが、野生型で形成される器官は全て揃っていた。これらの結果から、イネにおいてもBRは植物の生長に深く関わっており、BRL1およびBRL3はBRI1欠損を部分的に相補していると考えられた。この研究成果をまとめ、誌上発表を行った。 IAA遺伝子はシロイヌナズナを用いた研究からオーキシンのシグナル伝達に関与していることが示されている。私はドミナントネガティブに作用する変異型IAA遺伝子を導入することにより、オーキシン非感受性となるような形質転換体を作成し、解析した。これらの形質転換イネはオーキシン処理を行ってもオーキシンによって誘導される遺伝子を誘導せず、シロイヌナズナのオーキシン非感受性変異体と同様、重力に非感受性となった。また、維管束や茎頂分裂組織の形成に異常が見られた。これらの結果をまとめ、誌上発表予定である。
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Research Products
(2 results)