2007 Fiscal Year Annual Research Report
イネにおけるブラシノステロイドとオーキシンの相互作用機構の解析
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05J07571
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
中村 郁子 The Institute of Physical and Chemical Research, 辻本細胞生化学研究室, 特別研究員(PD)
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Keywords | イネ / ブラシノステロイド / オーキシン |
Research Abstract |
今年度は昨年度末に技術を習得したブラシノステロイド(BR)とそのレセプターBRI1の結合活性測定を応用して、イネとシロイヌナズナで生理活性の異なる数種のBR類縁体のBRI1への結合の有無を確認した。その結果イネではBR活性が低いあるいは見られないBR類縁体もイネのBRI1に結合していた。しかしこれらのBR類縁体によるBR生合成遺伝子のフィードバック制御はみられなかったことから、結合後のシグナル伝達上で情報伝達が阻害されていると考えられた。これらのBR類縁体の一つは天然で最も活性の高いBR、ブラシノライドと競合的にBRI1に結合していることが分かった。 イネの葉はラミナジョイント(LJ)と呼ばれる器官により開閉が調節される。BRとオーキシンは葉の屈曲角度の制御を行う植物ホルモンであり、LJを用いてBRとオーキシンの相互作用を調べた。実験にはイネの第二葉を用いた。まず、これまでほとんど観察されていなかったLJの細胞を観察したところ向軸側と背軸側では細胞の形が異なり、また、背軸側では中央部と葉縁部で異なる細胞を持っていることが分かった。LJはBRとオーキシンの何れの処理によっても背軸側の中央部では伸長が見られず、向軸側と背軸側の葉縁部の細胞の伸長により屈曲していることが分かった。BRは発芽3〜4日目に最大の反応性を示し、その後は反応性が激減した。BRの反応性が高い時期にはBRI1の発現が高く、BRの作用はBRI1の発現の程度により調節されていると考えられた。BRの作用はオーキシンの阻害剤であるPCIBによる影響を受けなかったが、オーキシンはいくつかのイネBR生合成欠損変異体で作用が増加し、イネBRI1欠損変異体では作用が低下していた。これらをそれぞれまとめて国外の雑誌に投稿予定である。
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Research Products
(1 results)