2005 Fiscal Year Annual Research Report
社会的ルールの知識構造が逸脱行為に及ぼす影響プロセスの検討
Project/Area Number |
05J07586
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
吉澤 寛之 名古屋大学, 大学院・教育発達科学研究科, 特別研究員DC2
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Keywords | 社会心理学 / 犯罪心理学 / 社会的情報処理 / 反社会的行動 / 社会的ルール / 知識構造 / 社会適応性 / 心理教育プログラム |
Research Abstract |
本研究は、反社会的行動の予測における有効性が見出されている社会的情報処理アプローチの理論的枠組みを参考に、青少年における社会を捉える認識の問題を修正し、社会適応的な方向へと改善する方法を多面的に検討することを目的とする。本年度は、1.社会適応性のポジティブな側面との関連を検討することにより、適応的な方向での社会的ルールの知識構造の様態を確認し、2.知識構造を適応的な方向に改善するための認知的側面への介入を実施した。 1.では、まず知識構造と社会的道徳判断との関連を検討し、知識構造の分化に関する側面が低次の道徳判断を抑制し、統合に関する側面が高次の道徳判断を促進する多層的な関係にあることが確認された。また知識構造及び認知的歪曲を情報処理の指標として捉え、各指標と向社会的行動との関連を検討した結果、知識構造の構造的側面の指標と向社会的行動との間に正の関連がある一方、認知的歪曲とは負の関連にあることが確認された。 2.では、これまでの研究から得られた知見を踏まえ、知識構造を(構造的側面を中心に)向上させ、認知的歪曲を改善することを目的とした心理教育プログラムの実施と効果測定を中学生対象に行った。知識構造の向上が期待されたソーシャルライフ(吉田・廣岡・斉藤,2002,2005)と認知的歪曲の改善に有効なEQUIPプログラム(Gibbs et al., 1955)を参考にプログラムを作成・実施し、事前事後テスト計画による効果測定を行った。その結果、開発されたプログラムは、情報処理の各指標を向上・改善する上で有効であることが確認された。 さらに本年度は、文献精読と、社会文化的要因が個人の社会的ルールの知識構造に及ぼす影響を検討する比較文化調査の準備として共同研究者との打合せを行った。上記の研究は、本年度開催の国際会議や国内学会で発表され、2本の論文を学術雑誌に投稿・審査中である。
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Research Products
(2 results)