2005 Fiscal Year Annual Research Report
犯罪不安喚起状況の質的研究および犯罪不安喚起に関わる諸要因の明確化
Project/Area Number |
05J07597
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小野寺 理江 名古屋大学, 大学院・環境学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 犯罪不安 / 犯罪リスク認知 / 自己関連付け / 防犯意識 / 防犯教育 |
Research Abstract |
本研究の目的は,犯罪被害者の減少と過剰な犯罪不安の低減を目指し,心理学的研究を軸とした学際的研究を行うことにより,犯罪不安の喚起に関わる諸要因の明確化および心理的プロセスの解明を図ることである.本課題期間においては,特に,(1)犯罪不安の喚起に関わる物理的環境特性,(2)犯罪不安の喚起に関わる社会的要因,特に情報の効果,(3)犯罪不安の喚起に関わる心理的要因,特に直接的または間接的犯罪被害の影響に焦点を当て,防犯意識の高揚や防犯行動の促進のための注意喚起方策の提案が可能となるよう,認知・感情・行動を含めた頑強な基礎的知見を明らかにする. 本年度は特に,研究の目的の(1)に焦点をあて,次の1,2の研究計画をたてた. 1.質問紙調査および面接調査を実施 実際に喚起されている犯罪不安の現状を把握し,諸要因の関係性について仮説モデルを検討する. 2.GIS(地理情報システム)を用いた視覚的分析 GISにより地図上に調査で得た多変量な情報を関連付け,分布やパターンを可視化し,犯罪不安との関連性を検討することで,心理学的研究のみではカバーできない知見を得る. 本年度研究期間では,1における調査研究を実施し,先行研究において得られている知見と比較検討しながら,犯罪不安喚起に関わる諸要因の関係について仮説モデルを作成し,検討を行った.犯罪不安が喚起されるには,犯罪が起きるかもしれないという客観的なリスク認知から,自分にも被害がおよぶ可能性があるという自己関連付けによって,自分も被害に遭うかもしれないという犯罪不安が喚起されるという一連の流れを示唆する結果を得た.また,リスク認知から対処行動に直接的に結びつくのではなく,リスク認知から犯罪不安を経由して,間接的に対処行動が喚起される可能性が示された.より明確なものとなるよう,調査を継続していく. 2は現在作業中である.
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Research Products
(1 results)