2005 Fiscal Year Annual Research Report
familiarityに基づく判断の合理性に関する心理学的研究
Project/Area Number |
05J07602
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
豊沢 純子 名古屋大学, 大学院・環境学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 社会心理学 / 合理性 / 判断・意思決定 |
Research Abstract |
本年度は、学位論文を次年度に提出するための準備として、主に論文の構成の決定、論文完成にあたって不足した研究の洗い出し、論文の執筆作業の開始を行った。また論文の構成を考える上で、自分の研究をより広い視点から捉える必要があると考えたため、専門の内外を問わず、多くの学会や研究会に積極的に参加した。その結果、familiarityのある対象を肯定的に判断し、familiarityのない対象を否定的に判断するとの現象は、必ずしも生得的に獲得されたものではなく、社会的な発達・学習過程をとおして獲得されている可能性が高いことが分かり、研究課題の「familiarityに基づく判断の合理性」を考える上では、社会的文脈との関連を重視すべきであるとの考えを得た。よって以下の二点に関して、研究計画を追加、修正することにした。第一に、familiarityは第三者からの操作が可能な感覚であることを考えると、この感覚が生じた後の判断過程を検討するだけでなく、どのような形態で情報を提示したときにこの感覚を生じさせやすいかという点についても検討することが重要であると考えた。よって情報の提示形態の相違がfamiliarityに基づく判断の起動に及ぼす効果を検討した。第二に、社会的な文脈での合理的な判断とは、論理課題で正解を得ることだけでなく、向社会的行動をとることも含まれると考えた。よって地震防災というトピックを用い、この感覚が向社会的行動の促進に影響する可能性を検討した。次年度は以上の結果をまとめ、学位論文を提出する予定である。
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