2006 Fiscal Year Annual Research Report
表面ナノ構造とナノ分子膜の相互作用を利用した機能性潤滑表面の創成に関する研究
Project/Area Number |
05J07643
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
伊藤 伸太郎 名古屋大学, 大学院工学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | トライボロジー / レオロジー / 磁気記録装置 / せん断力測定 / ヘッドディスクインタフェース / フッ素系潤滑剤 / 粘弾性測定 / 光ファイバプローブ |
Research Abstract |
磁気記録装置のヘッド・ディスク・インタフェース(HDI)に代表されるように,nmスケールまで微小化する機械要素間の安定的な相対運動を実現するには,nm厚さの潤滑膜による潤滑機能の達成が必須となる.HDIにおいては潤滑膜の厚さは1-2nmまでの薄膜化が必須とされているが,この膜厚は単分子膜厚に相当し,現状ではその評価方法は確立されていない.私はこれまでの研究において,nmオーダの隙間に閉じ込められた潤滑剤の粘弾性特性を評価するために,ファイバーウォブリング法とよばれる超高感度せん断力測定法を開発してきた.本年度は本手法を用いて,磁気ディスク基板上に塗布された単分子膜厚(1-2nm)の液体潤滑膜の力学特性の測定を目的とした.ファイバーウォブリング法では摺動子として先端を球形状に加工した光ファイバープローブを用い,先端の球(以下,先端球)により基板上の潤滑膜を摺動して,そのときのファイバのたわみを測定することによりせん断力を検出する.単分子膜厚の潤滑膜の力学特性の測定においては,潤滑膜の介在する先端球と基板とのナノメートルオーダの隙間を0.1nmオーダの精度で設定する必要がある.0.1nmの隙間の送りはピエゾアクチュエータを用いることにより達成可能であるが,このような微少な隙間は直接測定することが困難であるため,隙間の絶対値を同定することが難しい.そこで本研究では先端球と基板との固体接触を高精度に検出する手法を新規に考案し,固体接触点を隙間ゼロとして,そこからのピエゾアクチュエータの送り量から隙間を同定する手法を確立した.新規に考案した固体接触の同定法は,固体表面の突起同士の接触により先端球に励起される共振周波数の振動成分を,ロックインアンプを用いることにより高精度に検出するものである.この隙間の同定法により,単分子膜厚の潤滑剤の力学特性の測定に成功した.
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