Research Abstract |
本研究の目的は,モジュラーロボットの形態制御を事例として取り上げ,創発現象の活用が動的に変動する環境下の実時間適応性に大きく寄与することを,初動段階から明示的に議論した事例研究を提供することにある.従来研究においては,形態変形のために中央集権的な制御方策を必要としている,これに対して,申請者の研究では,提案する機構系と制御系の相互作用を活用したモジュラーロボットの創発的実時間形態制御方策により,合目的的かつ実時間適応的な制御を実現した. 本研究においては,これまでに得られたシミュレーション結果を踏まえ,モジュラーロボットの創発的実時間形態制御を実機上で物理的に実現することを目指すとともに,創発システムの設計原理構築を併せて試みている.平成17年度には,2次元モジュラーロボットの実機,および実験に必要な装置を製作し,2次元の実機実験を行った.アクチュエーション機構である伸縮可能な腕は,等方性を確保するために,可能な限り数多く配置される必要がある.そこで,空気圧アクチュエータを採用することにより,多数の腕を有しながらも,小型化,および軽量化を可能にする実装方式を検討し実装した.制御機構1としての非線形振動子(van der Polオシレータ)に関しては,ソフトウェアとして実現した.また,モジュール間の局所通信機構の設計・製作を行い,赤外線による通信機構を実装した. 平成18年度では,これらの要素技術をモジュールとしてパッケージングし,17個のモジュールから構成される2次元モジュラーロボット実機の実験を行い,提案しているモジュラーロボットが環境適応的な形態制御を創発することを確認した.また,研究成果について,国内外における学会発表,論文投稿を行った.
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