2005 Fiscal Year Annual Research Report
核融合装置プラズマ対向壁におけるトリチウムの蓄積とリサイクリング
Project/Area Number |
05J07660
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
杉山 一慶 九州大学, 大学院・総合理工学研究院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | トリチウム / プラズマ-炉壁相互作用 / イメージングプレート |
Research Abstract |
核融合プラズマ対向壁のアーマータイル表面に蓄積された放射性水素同位体・トリチウムの分析に高感度2次元放射線検出器イメージングプレート(以下IP)を用いた手法を適用し、その蓄積状況を調べた。 (1)重水素(D)とトリチウム(T)によるD-Tプラズマ実験を実施した2つの核融合装置、JET(英)、TFTR(米)のプラズマ対向壁に用いられた炭素材タイルについて測定を行なった。炭素材は低原子番号、高融点であるなどプラズマ対向壁として優れた特性を持つ。一方で損耗された壁材炭素が炉内に再堆積する際に多量のトリチウムを取り込む傾向があり、このことが炉内トリチウムリテンション増大につながるとして懸念されている。 本研究により両装置壁面の詳細なトリチウム分布を測定することができ、それが壁表面に形成された炭素堆積層の分布と良く一致することを確認した。また層中のトリチウム濃度が、プラズマに曝されない領域に形成された堆積層において高いことを見出した。 (2)重水素のみを用いた運転を行なうASDEX Upgrade(独)では、トリチウムはD-D核融合反応によって生じる。これらのトリチウムは主プラズマ温度(〜10keV)に比べ高エネルギー(1MeV)のため、その一部はプラズマ粒子との衝突過程によりエネルギーを失う前にプラズマ中から逃走し対向壁へ入射する。 同装置におけるトリチウム生成量はわずかで炉壁蓄積量も少ないが、高い検出感度を持つIPにより表面分布取得に初めて成功した。JET、TFTRと異なり、壁表面のトリチウム分布は炭素堆積層分布との相関はなく、高エネルギー粒子として対向壁へ入射したものの分布により決定されていた。すなわち同装置におけるトリチウム蓄積過程は、プラズマ水素としてのそれとは異なっていることがわかった。 これらの成果は次項「11.研究発表(平成17年度の研究成果)」に挙げる各公刊論文中にて発表した。
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Research Products
(4 results)