2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J07673
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
鈴木 臣 名古屋大学, 太陽地球環境研究所, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | 大気重力波 / 大気光イメージング観測 / 運動量フラックス / 平均流加速 / 中間圏 |
Research Abstract |
本研究者は、大気光イメージング観測によって小スケール(<100km)の大気重力波の中間圏界面高度(〜93km)での振る舞いを研究した。滋賀県信楽町に設置されている全天大気光イメージャーで2002年10月3日に観測された同心円状の波面を持つ特異な大気重力波について解析を行った結果、この中間圏界面付近における大気重力波の波面のパターンと、対流圏における積乱雲との対応をとることができた。このことから、積乱雲をポイントソースとして、同心円状の大気重力波が発生し、秋期特有の穏やかな背景風速のために中層大気中でも構造が壊れること無く伝搬したという描象を得た。この結果は米国の科学誌Journal of Geophysical Researchに掲載された。 また、OH大気光画像から20-100kmスケールの大気重力波を自動的に抽出し、その大気重力波の持つ運動量フラックスを見積もる研究を行った。大気重力波のパラメーターを導出する際おこなうスペクトル解析において精度を下げる原因となる画像中の銀河の構造を除去する手法を開発することによって、画像中に銀河構造が入っていても大気重力波のスペクトルのみを得ることに成功した。滋賀県信楽町で観測された1晩のデータを解析し、この大気重力波の自動抽出コードの有用性が確かめられ、運動量フラックスの定量的な見積もりを行った。これらの結果は科学誌Earth, Planets and Spaceに掲載が決定している。 最後に、日本の信楽、インドネシアのコトタバンでの長期観測データから、上記のコードを用いて、大気重力波の統計的な解析を行った。これにより中間圏界面高度の風速変動が大気重力波の運動量フラックスの変動とある程度相関があることが分かり、下層大気から運ばれる運動量によって高層大気の平均流加速が起こっており、さらにそれが季節・場所依存性を持つことを観測的に示唆した。
|
Research Products
(2 results)