2006 Fiscal Year Annual Research Report
パナマ産ヤドクガエルの毒ゼテキトキシンの全合成研究
Project/Area Number |
05J07704
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
占部 大介 名古屋大学, 大学院生命農学研究科, 特別研究員(PD)
|
Keywords | アミノ基 / 保護基 / イソシアナート / Ni, Crカップリング反応 / 配位子 / 立体選択性 |
Research Abstract |
アリルアルコールとトリクロロアセトニトリルから容易に調製できるアリルトリクロロアセトイミデートのアリルトリクロロアセトアミドへの転位反応は窒素官能基の導入法として有用な反応である.しかし、転位成績体のトリクロロアセトアミドのアミンへの脱保護には通常のアミド加水分解の条件が広く用いられていた.本研究室ではこれまでに、トリクロロアセトアミドをDMF中、炭酸セシウムと加熱すると、アミドの加水分解条件では不安定な官能基を有する基質に対しても高収率でアミンへと脱保護できる事を報告している.今回、本反応の反応機構を解析し中間体としてイソシアナートが生成している事を見いだし、温和な条件で除去可能な既知のアミノ基の保護基へとトリクロロアセトアミドを変換する方法へと展開した.すなわち、トリクロロアセトアミドをDMF中で炭酸ナトリウムと加熱すると高収率で得られるイソシアナートに対しワンポットで塩化銅(I)及び各種アルコールを添加し、Cbz, Troc, Alloc, Boc, Teoc, Fmocに高収率で変換することに成功した. 2006年5月からはハーバード大学化学・生物化学科の岸義人教授のもとに渡航し研究を行った.岸教授は、Ni、Crを用いたアルデヒドとアルケニルハライド類との汎用性の高いカップリング反応を用いた生理活性物質の全合成を展開している.さらに近年では触媒効率の高いNi錯体、不斉誘起の高いCrの配位子を見いだし、反応後のCrの効率的な再生を可能にすることで、触媒的不斉Ni、Crカップリング反応を発展させている.今回岸教授のもとで、強力な抗腫瘍活性を有するハリコンドリン類の合成研究に従事し、その過程で本カップリング反応を様々な基質に対して高立体選択的に進行させるためのCr配位子選択法について検討した.Cr配位子は高い多様性を有するため本来は個々の基質に対し配位子の最適化を行う必要があると考えられるが、Ni、Crカップリング反応における立体選択性はCr配位子のサイズを大きくするほど高くなる場合と、小さくするほど高くなる場合の2パターンがある事が分かった.このことから高い多様性を有するCr配位子の選択を容易にする事ができた.
|
Research Products
(2 results)